

パートナー対談
海外M&A×商工中金
フィリピンを製造拠点に、高品質な精密加工部品を製造するaim株式会社。果敢に海外へ挑む同社の成長を、商工中金はどうサポートしたのか。初めての融資相談、まさかのM&Aへの転換、その実現に至るまでの道のりを、aim株式会社・岩佐社長と商工中金・大澤が語り合う。熱意と信頼で結ばれた両者のパートナーシップの真価とは。

機械購入からM&A、
急転直下の展開へ
“熱さ”がつないだ
ファーストコンタクト
お二人の出会いやお互いの第一印象について教えてください。
大澤:aimさまとは、ちょうど今月(※2025年6月取材時点)から正式にお取引が始まりました。社長と最初にお目にかかったのは、2月。すごく「熱い」方だなという印象でした。
岩佐:私の説明を聞きながら、必死にメモを取ってくださったのを覚えています。とても一生懸命で、真剣に向き合ってくれているな、頑張ってくれそうな方だなと思いました。
大澤:「事前にこういう資料を準備してほしい」とお願いしていたら、期待以上に詳しい資料を作ってくださって、手厚いご説明をしてくださいました。熱い思いが伝わってきて、私も「この案件は何としてもやらなきゃ」と思いました。一言も聞き逃せないと思いながらメモをしていたので、必死な姿に見えたのかもしれませんね。
岩佐:当社のビジネスは説明が難しいので、機械や製品のことをなるべくわかりやすく伝えたつもりでした。実際、大澤さんは当時どう感じましたか?
大澤:そうですね。写真などの資料を見せていただいた際に、製品写真を見て素人ながらに「すごく綺麗で、精巧な部品だな」と驚きました。社長のご説明が丁寧だったので、わかりやすかったです。不明な点は電話やメールで細かいところまでたくさん教えていただいたので、ありがたかったです。

aim株式会社がフィリピン工場で製作する製品サンプル。非常に精巧で緻密な技術のもと造られている。
取引の開始に至るまでの課題や、ご苦労はありましたか?
岩佐:実は、最初に商工中金さんにお願いしたのはフィリピンの工場に導入する機械購入の資金だったんです。途中で急に、ある会社を買収できるという話が出てきて、目的をM&Aに切り替えました。機械だけでなく、買収先の工場がまるごと手に入り、一石二鳥ですから。
大澤:機械購入からM&Aに話が変わると、当然クリアしなければならないハードルも1段、2段と上がります。私としても買収先企業のこと、現地のこと、日本に居ては知り得ない慣習であるとか、数字面以外の情報収集が重要です。その点では社長から多くの情報をいただき、かなり助けていただきました。
岩佐:上司に報告される際、説得力のある内容にしていただくために、大澤さんにはどんどん質問してもらって、それをとにかくわかりやすく説明するように心がけました。
大澤:とにかく社長のレスポンスが早いんですよ!メールを入れ、「お返事は数日後かな」と思っていたら、即日、すべて返ってくるんです。しかもひとつの質問に対して3倍、5倍の情報があって。それを受けて私も「やらなきゃ!」と背中を押されました。社長のスピード感と丁寧なご説明のおかげでうまく進められたのかなと思っています。



「全力で通します」の一言が
深い信頼を生む
担当と顧客を超えた
パートナーシップ
印象に残っているお互いの言葉や、やりとりはありますか?
岩佐:「さいたま支店として、全力で審査を通すつもりです」と力強く言っていただいたときは、本当に嬉しかったですね。あのときは、どういう気持ちだったんですか?
大澤:あれは、私自身の覚悟の表れでもありました。会社を買う、という一大決心をされてのご相談でしたし、社長の熱い思いを受け止めて、これを叶えたい、という一心で出た言葉でした。社長に安心感を持ってもらえたらという思いもありましたが、それ以上に自分自身を奮い立たせる意味もありましたね。
岩佐:ありがとうございます。あの言葉は今でも一番心に残っていますし、励みになりました。
大澤:商工中金では、プロジェクトの実行にあたって担当者の思いを重視されます。私も、社長のキラキラした目、熱い思いに惹かれたので、上司にはその思いを私がかわりにぶつけて、「私もぜひやりたい」と伝えました。
初対面からの関係性の変化は、どう感じていますか?
岩佐:今回の融資で、私の夢に一歩前進できたことがまず嬉しいです。大澤さんの印象も最初に感じた「熱心さ」だけではなく、最近は雑談も交わせるようになって、それ以外のパーソナリティも理解できるようになってきました。お互い、いい関係が築けたかなと思っています。
大澤:私も最初は実務の話ばかりでしたが、メールや電話、オンラインミーティングなどを重ねていくうちに、ご家族のことや、プライベートな話も聞かせていただけるようになり、社長のお人柄がより伝わってきて、信頼関係も深まったと感じています。ご一緒していて楽しい方ですし、aimさまのお取引先や従業員の方も、そのお人柄を信頼してお仕事をされているんだなと実感しました。
岩佐:先日も私の事業における将来の夢などをざっくばらんにお話ししましたが、買収した会社の土地が空いているので、また新しい工場を建てたいんです。次の大きなプロジェクトもまた大澤さんにお願いできたらなと。
大澤:将来の夢についても最初から伺っていたので、私もぜひお手伝いしたいです。商工中金としても、お取引先さまという以上によきパートナーでありたいと思っています。


商工中金はリスクを取って
サポートする“本来の銀行”
次は売上10億、そして1000年 企業へ
商工中金と他の金融機関の違いについて、岩佐社長はどうお感じですか?
岩佐:我々のような中小企業、しかも海外に出ている会社に対しても、しっかりリスクを取った上で融資してくれるところです。必要なところにお金を融資する「銀行本来の役割」を果たしてくれる貴重な存在だと改めて実感しました。
大澤:商工中金は、全国に拠点があるのはもちろん、国際部や海外拠点を通じて海外案件にも対応できるネットワークが強みです。場所を問わず、柔軟に動けるのもひとつの強みだと考えています。

フィリピン国内にあるM&A先の工場。
aim社のこれからの展望を教えてください。
岩佐:当初の目標は、2030年までに売上5億円、経常利益率20%の会社になることでした。でも、大澤さんのサポートのおかげで2026年には達成できそうです。次の目標は、フィリピンで「品質ナンバーワン」の会社になり、売上10億円を目指すことです。
大澤:製造業で経常利益率20%、というのは相当に高い水準ですよね。それがまもなく達成できそうというのは驚きです。儲かったから商工中金はもういらない、と「卒業」されてしまうのは寂しいですので、新たな工場建設や人員増強など引き続きお手伝いさせてください。ところで、社長の「未来の野望」は何ですか?

岩佐:私はaimを「1000年続く会社」にしたいんです。生まれ変わってもまたaimで働きたい、と思えるような「いい会社」にしたいですね。
大澤:1000年企業に少しでも近づけるように、商工中金としても融資に限らず、販路開拓や補助金のご案内など、あらゆるご相談に対応できる体制を整えていきたいと思います。
岩佐:私の会社のことをよく知っていただいて、決算内容などの数字もよく見ていただけているので、安心してお任せできます。今後もお互い信頼し合えるパートナーとして続いていけたらと考えています。
大澤:業績がいいときだけではなく、困ったときにこそ相談していただけるような存在でありたいと思っています。岩佐社長、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
フィリピンの現地工場で働くaim株式会社の従業員たち。皆の笑顔から生き生きと働けていることが窺える。
Profile

岩佐 高士
aim株式会社
代表取締役
専門学校講師を経て、かねての夢だった「海外で働く」ことを実現すべく、精密部品メーカーに転職。フィリピンに渡り、現地での製造業務に長年携わる中で、日本の製造業が直面する課題を肌で感じ、自ら業界を変えたいとの思いを抱くように。約20年の経験を経て独立を決意し、2019年にaim株式会社を設立。
aim株式会社
精密加工・切削加工を中心とした部品製造のほか、メッキや焼入れ、アッセンブリーまでを一貫対応するものづくりのプロフェッショナル集団。日本国内では後継者不足による中小企業の廃業が相次ぐ中、若年人口が豊富なフィリピンに現地法人を設立。高品質な部品を安定供給できる体制を整え、国内製造業のサプライチェーン維持にも貢献することを目指す。


大澤 真理奈
株式会社商工組合中央金庫
さいたま支店オフィサー
金沢支店、名古屋支店での勤務を経て、2024年4月よりさいたま支店の営業第四課に着任。営業窓口として日々お客さまと向き合うと同時に、オフィサーとして後輩の育成にも携わる。物流業や製造業を中心とした企業を担当し、資金面だけでなく事業全体の支援に力を注いでいる。
aim株式会社
精密加工・切削加工を中心とした部品製造のほか、メッキや焼入れ、アッセンブリーまでを一貫対応するものづくりのプロフェッショナル集団。日本国内では後継者不足による中小企業の廃業が相次ぐ中、若年人口が豊富なフィリピンに現地法人を設立。高品質な部品を安定供給できる体制を整え、国内製造業のサプライチェーン維持にも貢献することを目指す。
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