輝く地域の中小企業

もみじ饅頭や独自の土産菓子で
観光地・宮島とともに歩む

株式会社やまだ屋

もみじ饅頭と桐葉菓の二本柱で全国へ発信

技術と品質で、もみじ饅頭の先頭を走る

主力商品の「もみじ饅頭」

もみじの葉をかたどったカステラの皮で、こし餡をくるんだ「もみじ饅頭」。今や広島県を代表する土産菓子として全国的知名度を誇る。明治末期、世界遺産の神社で知られる厳島(宮島)で、同地の名所・紅葉谷にちなんで考案された。土産物として人気を博し、戦前には12の製造元を数えたという。
その1つが、もみじ饅頭三大メーカーの一角を占める株式会社やまだ屋(広島県廿日市市、中村靖富満社長)だ。中村社長の祖母・山田ラク氏が1932(昭和7)年に創業。しかし、戦争で饅頭製造を休止し、芋を使ったパンの一種を小中学校の給食用に焼いた。
51年、広島県西部菓子協同組合の設立で砂糖の優先的供給が受けられるようになり、53年にもみじ饅頭製造を再開。高度成長とともに、団体の観光客が急増した島内の小売はもちろん、駅、物産店、高速道サービスエリア、デパートなどに展開した。
80年代の漫才ブームでネタに取り上げられたのをきっかけに全国にもみじ饅頭が知られ、中身もチーズ、クリーム、チョコなど多様化した。

「販売員には常に“おもてなし”の心を持ってほしい」と語る中村社長

食品なので日もちが問題となるが、同社では個包装に脱酸素剤を入れ、さらに窒素を封入することで倍の日もちを実現。長年の製造技術の蓄積によるノウハウの詰まった製造機械とともに高い品質を実現する。
「『ひとつひとつに思いを込めて』が基本理念。お客様が口にするのはせいぜい1個か2個なので、1個1個丁寧に作らないと信用にかかわる。2010年に対岸の旧大野町に工場を集約し、衛生管理のHACCP認証も今夏取得予定だ」(中村社長)

菓子と観光の“両輪”意識し、可能性を高める

“菓傳創心”の思いで新商品を開発、観光を盛り上げる

桐葉菓は、糯粉を使った皮で餡をくるんでおり、座布団をイメージして四角形にした

観光には季節的な繁閑があり、土産物の売れ行きもそれに左右されるので、同社では通年で売れる商品の開発を続けている。先代の山田勲社長(中村社長の父)が創った「桐葉菓」は、茶道家元からの相談をきっかけに開発し、97年に発売。もちもちした皮の食感が人気を博し、「ザ・広島ブランド味わいの一品」にも認定された同社第2の柱だ。
3代目となる中村社長は05年、贈答用の和洋創作菓子のブランド「RAKU山田屋」を立ち上げた。もみじ饅頭で培った和の経験と洋のパティシエ技術を融合、和洋の素材による創作菓子を展開している。「常に創意工夫し新しい味を求め続ける“菓傳創心”の思いで精進したい」(中村社長)

島内2カ所で開催する「手焼きもみじ饅頭体験」。手焼き器で2分ほどで焼きあがる。包装までの1時間弱のコースとなっている

中村社長は、(一社)宮島観光協会会長として、宮島観光の発展にも力を入れている。滞在時間を延ばすため、手焼きもみじ饅頭体験を本店で実施し、年間4万人近くを集めるほか、瀬戸内の特産品である柑橘類とのコラボ商品も積極的に開発する。また、世界遺産の地として世界中から観光客が集まるので、イスラム教徒向けにハラール認証も取得した。
「当社はお菓子と観光の2つの車輪の上で動いている。宮島の発展とともにあるやまだ屋でありたい」と中村社長は決意を語る。

企業データ

  • 本社:広島県廿日市市宮島町835-1
  • HP:http://momiji-yamadaya.co.jp/
  • TEL:0829-44-0037
  • FAX:0829-44-2274
  • 創業:1932(昭和7)年10月
  • 設立:1966(昭和41)年3月
  • 資本金:1400万円

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