輝く地域の中小企業

“ファッションとエコ・環境との共生”
を目指すブランド創り

株式会社クイーポ

天然素材による環境配慮がブランドイメージ

革のハンドバッグを起点にファッショングッズ全般へ

「船」をイメージしたという同社の本社ビル(2007年竣工)

 都内、靖国通りと外堀通りの分岐点のあたりで、ひときわ目立つ天然石の外装のビル。㈱クイーポ(東京・新宿区、岡田敏社長)が本社を置く自社ビルだ。本革のハンドバッグ等の鞄をはじめトータルファッショングッズの企画・製造・販売を行う同社は1965年、先代の故岡田國久氏が創業した。
 國久氏は長野県の出身で、上京して浅草で皮革製品関連業に携わり、27歳で独立した。自身のデザインによる製品を委託生産するほか、海外ブランド品の輸入およびライセンス生産を手がけてきた。バッグを軸に衣料などの繊維製品へと業容を拡大し、現在手がけるブランドは、自社も含め10以上に及び、東南アジアにも自社工場を展開している。

“自然との共存”を目指し自社ブランドを立ち上げる

gentenの企画製作デザイングループ。社内デザイナーが手描きで型紙を起こし、微妙な柔らかさをもったデザインを作り出す

 ファッション全般に手を広げてきた同社だが、長野県出身の國久氏は、1998年の長野オリンピック開催や中国視察などで、今後は環境への配慮が重大な課題であることに改めて気づいた。
 「五輪施設のため、森林の伐採など自然破壊が進んだ。中国のダムも深刻な環境破壊をもたらしている」という実情を目の当たりにした國久氏は、「自然にやさしいファッションを創りだし、自然と共存しながら常に美しくありたい」との思いから99年、自社ブランド「genten」を発表し、バッグ、ウエア、シューズなどをトータルで提案した。

「自然にやさしい」をコンセプトとする主力ブランド「genten」の鞄。天然素材にこだわり、縫製には麻糸を使う。手縫いでしかできないサドルステッチという、かつて馬の鞍を作るのに使われた丈夫な縫い方で革を縫い合わせる

 同社の社名は「私の愛しい人(クイーポ)」というハワイ語に由来する。「自然を愛し、人を愛し、ロマンを求め、ファッションを通して、人々を幸せに、そして社内外の関係者全員も幸せに」との理念に、環境配慮が結びついた。
 たとえば、通常革をなめすのにはクロムを含む化学薬品が使われるが、これに替えて、茶渋で知られるタンニンという天然成分を樹皮や根などから抽出して使っている。服地も草木染など天然染料によって染めている。製品による環境汚染の心配はない。
 当初は「自然とファッションの融合」というテーマが理解されず、ブランドが認知されるまで苦労は多かった。しかし、「創業者の理想はSDGs(持続できる開発目標)を先取りするもので、今では世界で認められている」と岡田社長は振り返る。

伝統産業とのコラボなど、新ブランド創出で生き抜く

伝統との融合、ブランド拡充で新時代に対応・挑戦

「日本の伝統との融合、さらには男性用ブランドも立ち上げ、『売れない時代』に成長戦略を実行したい」と今後の展開を語る岡田社長

 おしゃれは、必ずしも生活必需品ではない。個人消費が低調ななか、「売れない時代」の悩みはつきない。自社工房で特注品に対応し、自分だけのオリジナル商品を作ることができるのも、このような時代ならではの取り組みの一つだ。
 また、「伝統と革新」をコンセプトに、奄美大島の泥染をはじめ全国の伝統産業との協業も進めている。
 「将来は男性用ブランドも立ち上げ、リユース事業(中古品の再生)、顧客参加型の工房の開設、エコロジー製品の強化等に取り組みたい」と岡田社長は新時代の開拓を推進する。

企業名:株式会社クイーポ スライド

企業データ

  • 本社:東京都新宿区市谷本村町2-1
  • HP:http://www.kuipo.co.jp/
  • TEL:03-3268-9199
  • FAX:03-3268-8993
  • 創業:1965(昭和40)年5月
  • 従業員:150名
  • 資本金:7800万円

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