サポート事例

地域金融機関と協調し、再生ステージからの脱却を図る大阪府の印刷業者をサポート!

代表取締役 清井 滝典様

日本ウエブ印刷株式会社(本社:大阪府門真市)は、ポスターやカタログ等の商業印刷業者です。大阪圏に24時間フル稼働できる工場と倉庫、6台の大型オフセット輪転機など充実した設備を保有し、大量の印刷物を短納期で納品できることを強みにしています。

リーマンショックと東日本大震災による影響

同社は、1961年設立の歴史のある企業です。積極的な設備投資により業容を拡大、東京や名古屋などに複数の営業拠点を構え、ピーク時には140億円を超える売上高を計上しました。そのような同社を100年に一度の危機と言われる「リーマンショック」が襲います。大手事業者からの発注が激減したことに加え、その後の東日本大震災による原料価格の高騰、更にはインターネットの普及による紙媒体の減少など、主力であるカタログ需要の悪化が同社の経営を圧迫しました。

苦渋の決断

このような外部環境の悪化に対し、2013年4月にやむなく大阪地方裁判所に民事再生の申し立てをしました。その後、同社は、主力販売先である大手印刷メーカーの理解を得られたこと、生産能力が高い各種印刷機械をフルに活用、取引先からの短納期ニーズに対応するとともに、経費の削減や事業所の見直し等、各種リストラ策を実施するなど、業況の改善に注力しました。そして何よりも従業員の献身的な改善努力や強い結束力のもとで、再生計画に基づいた経営改善に取り組み、2017年2月に民事再生手続きの終結に至ることができました。

飛躍に向けた悩み

同社は、自社にて印刷、製本、検査、保管、発送までを一貫して行い、スピーディかつ低コストで大量印刷できる体制を構築しました。一方で、民事再生手続き終了後にも残る「民事再生債務」が経営の足かせとなり、金融機関からの資金調達が思うようにできず、将来に向けて必要な設備投資や生産性向上に繋がるIT投資に注力できない状況でした。

地元の北おおさか信用金庫と共同で総額10億円のシンジケートローンを組成し、リファイナンスを実施

商工中金は、同社が抱える課題解決に向け詳細な事業性評価をVレポート(Value upレポート)にまとめて、同社および他の金融機関と課題や認識を共有しました。そのレポートの内容を踏まえ、各金融機関は資金繰りの最適化を図るためにシンジケート団を組み、民事再生債務を含めた全ての借入金をリファイナンスし、金融取引の正常化を実現しました。民事再生からの完全脱却を果たした同社は、新たに「省エネ型」の印刷機を導入、印刷の品質向上とコストの削減を実現するとともに、生産能力に余裕ができた製本事業を拡大するなど、積極的な事業展開を通じて更なる成長を図ります。商工中金は、財務構造の改善など金融面のサポートとともに、本業支援も行うことで、お取引先企業の価値向上を図るなど、地域経済の担い手である中小企業を応援していきます。

商工中金は中小企業の皆様へ
経営支援を行っています。まずはご相談ください。