サポート事例

X線のカラー化を実現するため、量産設備の導入に挑む静岡県のベンチャー企業をサポート!

代表取締役 小池 昭史様

株式会社ANSeeN(本社:静岡県浜松市)は、X線を検出するセンサ等の研究開発業者です。静岡大学が長年研究をしてきた技術をベースに、CdTe(テルル化カドミウム)を組み込んだX線センサを独自に開発、従来のX線と比べ高感度・高効率等を実現するとともにX線画像のカラー化を可能にしました。

光科学の研究が集積する浜松市

同社は、2011年、静岡大学発のベンチャーとして設立され、静岡大学浜松キャンパス内の共同研究施設「光創起イノベーション研究拠点」内に拠点を構えています。静岡県浜松市は1920年代に世界初の電子式テレビジョンの開発に成功するなど、光科学に関連する多くの技術や研究が集積しています。同社は、静岡大学の青木徹教授(同社取締役CTO)が長年研究してきた半導体技術をベースに超高解像度X線イメージングセンサを開発、X線カラーカメラを製造することに成功しました。

社名に込めた思いと同社を支える技術

同社の社名「ANSeeN(アンシーン)」は、「見えない」を意味する英語の「unseen」と日本語の「安心」を掛け合わせた造語です。見えないものを可視化することで、歯科やセキュリティーなど幅広い分野に安心を届けるとの意味が込められています。同社が開発した検出器は、従来に比べ感度が約1000倍、解像度が2倍~3倍のX線検出が可能で、少ない放射量でも非常にシャープな画像化が可能です。こうした技術は、青木氏から優先使用権を得るとともに共同出願を含め、約10件程度の基本特許を保有しています。

量産開始に向けた取組みと課題

研究開発の実用化を踏まえ、同社は高解像度の画像を撮影できるX線センサの量産を開始し、今後、電子部品や画像診断装置メーカーへの販売展開を見込んでいます。同社はこれまで、その高い技術力や成長性を高く評価した多くの投資会社(VC等)からの出資を受け成長してきました。しかし、今後の量産体制の構築や販売増加に伴うアフターメンテナンスなど、これからの同社の成長局面においては、必要となる資金を機動的にコントロールすることが不可欠になってきます。出資(株式)による資金調達は株式の希薄化に繋がり、長期の安定した事業運営に課題を残す、銀行融資(借入金)では、企業としての実績が乏しく必要な担保もない、日本のベンチャー企業が抱える特有の悩みです。

事業性評価を起点に地域の信用金庫と協調し、量産化製造ラインの資金を融資

商工中金は、新たな創業への挑戦をサポートするため、VCなど外部の提携機関と定期的に情報交換し、営業店と本店が連携して事業者の課題解決に取組んでいます。今回、同社への出資者や製品の購入を検討している複数の上場企業などにヒアリングする等、綿密な「事業性評価」を行いました。その結果、同社の高い技術は今後多分野に活用され、社会に大きく貢献すると判断、量産化に必要な資金として総額4億円(うち、信用金庫1億4,000万円、商工中金2億6,000万円)の融資枠を無担保無保証で設定しました。この融資は、今後の事業計画の進捗状況などを確認しつつ、必要な時期に必要な資金を融資するスキームです。商工中金は、お客さまとの信頼関係を深め、事業内容や将来の成長可能性を把握するために行う「事業性評価」を起点に、地域の金融機関とも協調して、地域経済を支える中小企業の価値向上をサポートしていきます。

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