店頭の知恵と工夫、非対面型のリテール推進広める商工中金・函館支店のチャレンジ店頭の知恵と工夫、非対面型のリテール推進広める商工中金・函館支店のチャレンジ

提供:商工中金

左から小久保厚氏、五十嵐緑氏、関知世氏

 日本の中小企業を支える商工中金は、個人から預金を預かる金融機関としての顔も持つ。個人向けに定期預金「マイハーベスト」を展開しており、現在インターネットバンキングキャンペーンを実施中だ。窓口を中心としたリテール部門も、コロナ禍をきっかけに新しい形での営業を模索している。インターネットバンキングの推進で2021年度の社長賞を受賞した函館支店業務課の五十嵐緑主任と関知世さんに、大きく変わった環境の中でどのように成果を上げたのかを聞いた。

01移転・コロナ禍・組織改革…
変わる環境下で継続性をどう確保?

――まず非対面型の取引を推進しようとした背景を教えていただけますか。

五十嵐 函館支店は2020年に店舗を移転しました。その際に窓口担当だった私たちの方から新しい営業のアイデアを出したのですが、運悪くコロナ禍の影響による訪問自粛や、支店内で行われていた組織改革への対応などもあり、うまく継続できなかった悩みがありました。

 例えば支店の移転先であるビル内に入っていたテナント企業にお勤めの方にセールスし、マイハーベストの預金開設などをしてもらったのがその取り組みです。ただコロナ禍もあってあまり訪問できず、会社を訪ねても在宅勤務で人がいないなど効果は限定的で、なかなか継続して続けられなかったのが実情です。

五十嵐緑氏
株式会社商工組合中央金庫
函館支店 業務課 主任
五十嵐緑

――そんな中で2021年度に新たな取り組みをされたそうですね。

五十嵐 業務課としてできることがないかと考え、他店の成功事例を集めてそれを参考にしました。上司などの協力もあり、色々な事例を集められました。それを見て自分たちでもできるのではないかと勇気づけられました。

 コロナ禍もあって非対面型の取引を増やす必要がありましたが、地方で多いご高齢のお客さまはインターネットバンキングといわれてもつまずきやすいのが実情です。丁寧な説明が必要になりますが、たとえばどうやって文字入力をすればよいのか分からないという方には説明も簡単ではありません。ケースによってはテレホンバンキングを進める方がいいと判断しました。

関知世氏
株式会社商工組合中央金庫
函館支店 業務課
関知世

 五十嵐主任がテレホンバンキングを、私がインターネットバンキングを担当したのですが、確かにインターネットバンキングの説明は大変でした。つまずいている方には「最初は一緒にやりましょう」と言って時間をかけて説明したのですが、それでもやはり難しいと言われることもありました。

小久保厚氏
株式会社商工組合中央金庫
函館支店 業務課 課長
小久保厚

上司から一言(小久保 厚課長)

窓口の担当者から積極的にアイデアを出してもらい、ボトムアップ型で取り組みを進めました。前年度の反省から継続性を重視しました。

02DMに表紙、想定問答で練習
安心安全を求める顧客に対応

――非対面型の取引を推進するに当たって、どのような工夫をされたのでしょう。

五十嵐 工夫の一つはダイレクトメールです。資料には支店で独自の表紙をつけるようにしました。ご高齢の方も多く、文字の多い資料ですと中身を見ていただけないためです。そのため、文字数を減らし、時に箇条書きを活用しながら目に留まるような表紙をつけました。私が担当しているテレホンバンキングの推進に際しては、インターネットバンキングが不安だというお客さま向けに勧めました。

ダイレクトメールイメージ ダイレクトメールイメージ
文字数を減らし、時に箇条書きを活用しながら目に留まるような表紙を付けるなどの工夫をしている

 インターネットバンキングは最初から年齢層を絞ってダイレクトメールを送りました。支店のお客さまを見ると60代ならまだ「若手」と言える年齢構成です。インターネットに抵抗感のなさそうな年代のお客さまを対象にしました。

五十嵐 取り組みを始めるに際しては担当の全員から意見を集めました。そのうえで、1カ月もかからずに実際にプロジェクトとして動き出しました。何より継続性が必要と思っていましたので、無理がないような形でダイレクトメールの本数を絞り込んで長く続けることを重視しました。

――営業トークについても面白い取り組みをされたそうですね。

五十嵐 それまではどうしてもコロナ禍への対応のために非対面型の取引を勧める説明になりがちでした。トークスクリプトを作成して練習を行うことを通じ、お客さまの負担が軽くなるメリットを強調するなど、納得いただける説明のパターンが増えました。

 確かに、お客さまに寄り添った説明のレパートリーが増えたと思います。コロナ禍が今後落ち着いた際にも、なぜ非対面型の取引なのかを説明するのに使いやすいツールでした。

五十嵐 私たちの取り組みが全店に広がり、商工中金ファンが全国に広がればいいなと思い、この取り組みを全国に発信しました。積極的な取り組みを共有するためにも来月も頑張ろうという気分になれたと思いますし、課題だった継続性にもつながりました。また支店内でも取り組み意識が広がり、私たち以外でも店頭でお客さまに声を掛ける際にインターネットバンキングやテレホンバンキングの話をする流れも広まりました。

上司から一言(小久保課長)

非対面型の取引に抵抗感のあるお客さまにメリットを感じてもらうには、丁寧な対応が大切です。若手職員からの「具体的な説明が難しい」という声を受けてトークスクリプトを作り、上司のデモンストレーションを通じ、全体のレベルアップを進めるうえで役立ちました。

――うまくPDCAサイクルが回ったわけですね。店頭の現場で様々な工夫をこらしてきた成果はいかがでしたか。

 インターネットバンキングは実際に始めるまで抵抗があったけど、やってみたらできたし、金利も高いと喜んでくれるお客さまが出てきたのがうれしかったですね。

五十嵐 個人のお客さまからお預かりする「マイハーベスト」は、中小企業の成長の原動力になっています。また、リスクの低い商品の方が望ましいと考えるお客さまにとっても、安全安心な商品と見てもらっています。

 お客さまである個人の資産形成にとっても大切な商品です。今年4月からも新しいインターネットバンキングキャンペーンが始まっているので、これを機に多くのお客さまに利用いただければと思います。

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