丸光協同組合×商工中金 中小企業を伴走支援 新たな挑戦、チームで実現 vol.3 真空予冷で新鮮レタスを消費地に 組合設立の支援通じ、地域ブランドの価値向上目指す 提供:商工中金

地域に貢献する事業の展開や新たな創業には乗り越えるべきハードルが高く、実現が困難なケースは多い。そんな企業や団体に対し、商工中金は中小企業専門の金融機関として寄り添い続けてきた。商工中金の伴走支援を紹介するシリーズ第3回。今回は長野県中小企業団体中央会と連携し、付加価値の高い高原レタスのブランド力向上に挑む丸光協同組合(長野県)へのサポート事業を取り上げる。

個人農家を組織化、
大型真空予冷設備を導入

丸光協同組合 理事長 遠藤 今朝吉 氏

丸光協同組合
理事長
遠藤 今朝吉 氏

全国に名をはせる「川上村の高原レタス」

ここの野菜はどうしてこんなにおいしいの?――。ある夏に長野県南佐久郡川上村のレタス畑で行われた収穫体験。参加した神奈川県川崎市の小学生から驚きの声が上がった。

川上産レタスの最大の特徴は味や食感など群を抜く品質の高さだ。卓越した商品力は今や「川上村ブランド」として、全国にその名をはせる。

丸光協同組合は、同村の地元農家同士が手を結び、丹精込めて生産した高原レタスの販売促進のため2019年11月に設立された共同事業組織だ。組合員は現在、11人の農家と塩尻地区の農業生産法人1社で構成される。

先頭に立つのが同組合の遠藤今朝吉理事長。自らレタス農家を営むかたわら、契約栽培による産直システムの構築など、長年にわたって個人農家のために尽力してきた。「農家は生産のプロでも、販売面は未知数。個人では難しいことでも、組織化すればいろいろな課題に挑戦できる」。現在は経営や販売面の支援を受ける昭光ファームネット内に組合本部を設置。同社の販売ネットワークを通じて関東や中京圏の消費地に農産物を供給している。

丸光協同組合 理事長 遠藤 今朝吉 氏

丸光協同組合
理事長
遠藤 今朝吉 氏

商工中金が金融面をサポート

一方で、レタス栽培は農業ならではの問題点も抱える。とりわけ近年は記録的な猛暑など急激な気候変動による豊凶作が続き、年間を通じたレタスの安定供給と価格変動の抑制は喫緊の課題。それを克服する切り札が真空予冷庫だった。

同組合が設立された背景には、「個人では保有が難しい大型設備を組合として導入することで、農産物の安定供給を図り、事業としての農業経営を充実・強化したい」(遠藤氏)という強い思いがある。消費者ニーズの多様化や環境規制などに対応するためには、組織化による生産性向上・価値実現力を高め、対外交渉力や経済的地位の向上を図ることが効果的だ。

組合設立に際し、遠藤氏は以前から取引関係にある長野県中小企業団体中央会に協力を要請。中央会から商工中金松本支店にサポートの依頼があった。商工中金には約2万組合が所属し、事業性評価を通じて組合や組合員の課題を共有。価値向上のために商工中金ならではのソリューションを提供している。

「定期的に勉強会を開くなど、商工中金との長年の連携・友好関係が今回の支援につながった」と語るのは中央会中信事務所の馬場智也所長だ。商工中金はこれまでの事業実績に加え、予冷庫導入がもたらす収益効果と将来性、今後のビジョンなど非財務面も踏まえて事業性評価を実施し、積極的支援を決定。農林水産省の「産地パワーアップ事業」の補助金と合わせて必要資金を融資し、設備導入をサポートした。「農家である組合役員にとって、個人保証の心理的負担は重い。経営者保証ガイドラインに基づき今回無保証で対応し、新たな展開も視野に入れる組合に寄り添ったご提案ができた」と商工中金松本支店の芦原弘行調査役は胸を張る。

長野県中小企業団体中央会 中信事務所 所長 馬場 智也 氏

長野県中小企業団体中央会
中信事務所 所長
馬場 智也 氏

商工組合中央金庫 松本支店 調査役 芦原 弘行 氏

商工組合中央金庫
松本支店 調査役
芦原 弘行 氏

イメージ イメージ

販売先の評価急上昇、
販売エリアも広がる

急速冷蔵で鮮度の長期保持を可能に

通常レタスは出荷前に保冷庫で冷蔵保管し、芯温2℃〜4℃の新鮮な状態を保ったまま保冷車で消費地に運ぶ。真空予冷庫は、保冷庫に入れる前の予冷を行う真空槽の気圧を下げることで、短時間に内部の温度を下げる仕組みだ。急速冷却することで鮮度を保つ期間が延び、遠隔地への輸送も可能となる。

導入効果はまず販売先の評価、反応に表れた。「着荷状態が良い。レタスの色が採れたてと変わらない」「こんなに鮮度が違うのか」――。商品価値が高まることで単価が上がり、農家の収益力向上にも直結する。「販売エリアも広がり、これまで一部出荷にとどまっていた九州では早くも販売拡大の話が来ている」(遠藤氏)という。

出荷場の風景も様変わりした。レタス農家の多くは夜半から未明にかけて収穫するため、出荷は朝に集中する。真空予冷庫導入により予冷作業時間が大幅に短縮されたことで収穫期でも順番待ちの混雑が解消し、農家の評判は上々だ。

一度に2880玉のレタスを30分弱で冷やせる真空予冷庫内部

一度に2880玉のレタスを
30分弱で冷やせる真空予冷庫内部

廃棄ロスを大幅削減、農家の収益力も拡大

廃棄ロスの解消効果も見逃せない。従来、レタスは不作を見越して多めに栽培する一方、豊作時には廃棄することもあった。それが真空予冷庫の導入により「市場動向に合わせた出荷が可能となり、廃棄ロスが大幅に削減した」(遠藤氏)という。コロナ禍という難しい時代にあって、商品の高付加価値化による販売価格上昇と農家の収益力改善が同時に実現できたことに、組合は大きな手応えを感じている。

「今後は川上産レタスの特徴である減農薬・安全栽培に磨きをかけ、将来的には有機農法による付加価値の高い商品づくりを進めたい。それが農家を守ることにつながる」と遠藤氏は力を込める。一方、中央会や商工中金も「真空予冷庫を導入したことが川上産レタスの商品価値を高めた。これを弾みにさらなるブランドイメージの向上、地域の活性化につなげたい」(馬場氏)、「ビジネスマッチングや新規販路の開拓など、今後も組合に寄り添ったサポートに力を入れていきたい」(芦原氏)と引き続き強力なタッグを組む構えだ。

中小企業に寄り添う両者の連携による伴走体制が、誕生間もない組合の挑戦を力強く支える。

レタスの鮮度保持に活躍する真空予冷庫

レタスの鮮度保持に活躍する真空予冷庫