輝く地域の中小企業

「完全なる廃棄物の循環型処理システム」の確立に挑む

日本総合リサイクル株式会社

マルチ解体機と大型剪断機で資源の90%をリサイクル

金属スクラップの再資源化で創業、自動車、バス、鉄道に広がる

 環境を守る取り組みが重視される現在、3R(減量、再利用、再資源化)が各所で進められている。特に再資源化は、資源に乏しいわが国では重要な取り組みだ。総合リサイクル事業グループとして、産業廃棄物処理から再資源化まで一貫して手がけるのが豊富産業グループだ。日本総合リサイクル㈱(高倉康氏社長)は、そのなかで鉄道車両やバスなど大型車両の再資源化に取り組む。
 同グループは、高倉可明会長(社長の父)が金属スクラップを再資源化する豊富商店を1968(昭和43)年に創業したのが始まり。70年には豊富産業㈱として株式会社化し、後にグループの中核企業となる。
 85年には一般廃棄物・古紙回収の豊富商事㈱を分社化し、2002(平成14)年に日本オートリサイクル㈱に改称、自動車再資源化に取り組む。05年には鉄スクラップ処理部門を三豊工業㈱として分社化。09年には、鉄道車両やバスなどの大型車両を再資源化する日本総合リサイクル㈱を設立した。完全屋内解体なので、周囲の環境も守られる。

リサイクルの技術で社会に貢献する

マルチ解体機を開発、グローバルスタンダードを目指す

大型ギロチン剪断機。廃材を飲み込みながら大型カッターで切断し、圧縮する。長さ25mの大型の新幹線車両や大型バスも処理が可能(同社提供)

 解体作業で威力を発揮するのが、マルチ解体機だ。高倉会長のアイデアで、コベルコ建機㈱と共同開発して製品化した。従来は手作業だった小さな部品や原料の回収、プラスチック樹脂の回収の自動化を実現。1カ月に約3千台の自動車解体を可能とする。高倉会長は、もともと電力会社を経て、富山市役所で橋梁設計に約10年携わった。そこで身につけた技術と経験を生かして開発したマルチ解体機は、同グループの持つ約70の特許の第1号となり、世界の多くの国で愛用されている。
 「世界はますます資源の再生と有効利用を必要とする。これまで培ったリサイクルの技術と知恵を一層磨き社会に役立てていくとともに、私たちの技術がグローバルスタンダードとなることを目指して今後とも努力を続ける」と高倉会長は語る。

「私たちの技術がグローバルスタンダートとなることを目指す」と語る高倉会長

 また同社では、自動車解体の手法を大型車両にも応用し、マルチ解体機等を並べて流れ作業で解体分別作業を行う「重機リレー式解体」で、屋内で短時間に解体する。さらに、国際特許を取得した大型ギロチン剪断機も装備し、分厚い鉄も簡単に、瞬時に資源化する。「90%がリサイクルでき、国内でのものづくりに活用できる」と高倉会長は強調する。
 「資源リサイクルのリーダーとして、再生可能資源の有効かつ効率的な回収に、当グループは総力を挙げる。廃油回収施設の設置、電気式マルチ解体機の導入、廃タイヤの再利用、リユース部品の回収、事前分別の徹底などゼロ・エミッション化の取り組みを強化し、『完全なる廃棄物の循環型処理システムの確立』を目指す。
 『航空機リサイクル』にも着手している。従来は、アメリカに運んでいたが、これを当社の技術により屋内で迅速に解体する。アジアでも航空機廃棄が進んでおり、将来性は高い」と高倉会長は将来の目標を熱く語る。

企業名:日本総合リサイクル株式会社 スライド

企業データ

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