持続可能な環境・社会への貢献
環境や社会の課題解決に資する取組みを一層強化し、皆さまとともに持続的な発展を目指して参ります。
TCFDレポート
商工中金の「気候変動」や「サステナビリティ」に対する基本的な考え方、お客さま支援に対する基本的姿勢や取組状況等について説明します。
サステナブルファイナンス
商工中金のサステナブルファイナンスの取組みについてご紹介します。
グリーン/ソーシャル/サステナビリティボンド
商工中金のグリーン/ソーシャル/サステナビリティボンドの取組みについてご紹介します。
インパクト預金・J-クレジット預金
商工中金のインパクト預金・J-クレジット預金の取組みについてご紹介します。
マテリアリティ
当金庫が事業活動を通じて、重点的かつ効果的に貢献する社会の重要課題を、マテリアリティとして特定しています。重要性と影響度の2点を基準として定め、特定しています。
- 【重要性】
- 当金庫及びステークホルダーの双方にとって、ビジネスモデルの持続的な成長のために重要であること
- 【影響度】
- 当金庫の経営資源を有効に活用することで、環境又は社会に対する正の影響を与えることができること
再生可能エネルギーへの移行等、気候変動リスクに対応するために必要な取組みを、マテリアリティとして特定しています。
特定したマテリアリティの状況については、今後、定期的に検討、見直しをしていきます。

お客さま支援の方針("SPEED"の視点)
"SPEED"の視点(※)に基づき、中小企業のお客さまを含むステークホルダーの皆さまと建設的な対話と相互の理解に努めます。
気候変動リスクのように、社会自身のサステナビリティを問う課題が顕在化するなど、社会環境が激変する中で、未来に対する我々の取組みは、様々なものが求められ、時に大きなチャレンジも必要です。
当金庫は、中小企業のお客さまを含むステークホルダーの皆さまとは「共感」を第一に重要視し、"SPEED"の視点を起点に、活動の輪を広げ、「共感の創造」をしていきます。
中小企業の金融円滑化に反するような、支援の消極化を画一的に行うことはありません。
- ※商工中金が独自に定めた、組織・職員のサステナビリティに対する取組みの基本的な視点

サステナビリティ基本規程
1.環境への配慮
全ての事業活動の基盤である地球環境の安定性に配慮し、気候を含む環境への負荷低減に積極的に取り組む。
2.人権の尊重
公正な社会秩序の基礎となる人権を尊重し、全てのステークホルダーと公正・適正な取引を行う。
3.中小企業のガバナンス向上
事業性評価を起点とする投融資や人材の派遣を含む顧客支援を通じ、中小企業のガバナンス向上に寄与する。
環境方針
地球環境の保全・保護は人類共通の責務であることに鑑み、環境に配慮した活動に取り組む。
- ①法令等の遵守
環境に係る諸法令はもとより、当金庫が同意するその他の要求事項を遵守する。
- ②金融サービスを通じた環境保全
全国のネットワークを最大限活かし、国の政策、地方公共団体の施策などとも連携を図りつつ、金融商品・金融サービスの提供をはじめとする事業活動を通じ、環境保全・保護に取り組む中小企業団体及び中小企業の事業活動等を積極的に支援し、社会全体の環境に関するリスクの低減に取り組む。
- ③自らの事業活動における環境負荷の低減
事業活動における資源の消費や、廃棄物の排出による環境への負荷を認識し、資源循環の取組みや、エネルギーと資源の有効活用を通じ、環境保全に努める。
- ④役職員への啓発
役職員一人ひとりが環境問題に関する正しい理解と認識を深めるため、環境に対する啓発に努める。
人権方針
人権の尊重は社会的責任を果たす上で積極的に取り組むべき重要な経営課題であることに鑑み、当金庫が社会に配慮した活動に取り組むにあたっての方針。
- ①国際規範の尊重
世界人権宣言や国連グローバルコンパクトをはじめとする国際規範を尊重する。
- ②差別の排除
人種、国籍、性別、性的指向、性自認、出身、社会的身分、信条、宗教、障がい、身体的特徴などを理由とした差別や人権侵害を行わない。また、間接的にも加担しないように努める。
- ③ステークホルダーとの公正・適正な取引
透明性が求められる社会的公器である金融機関の一員として、また地域社会の一員として、常に社会的責任を自覚し、ステークホルダーと公正・適正な取引を行うよう努める。
- ④従業員の健康・労働環境への配慮
あらゆる人の人権と多様性を尊重し、ハラスメントや差別のない風通しの良い職場環境の構築に努める。
- ⑤人権デュー・ディリジェンスの実施及び救済
人権の負の影響を防止・軽減するために継続的な人権デュー・ディリジェンスを行うとともに、人権侵害等が明らかになった場合はその救済に努める。
- ⑥役職員への啓発
役職員一人ひとりが人権問題に関する正しい理解と認識を深めるため、人権啓発研修に取り組む。
顧客支援方針
基本的な視点
全ての役職員は、環境方針及び人権方針に則り、持続可能な社会の実現を重要な経営課題の一つと認識し、以下に掲げる視点に配慮してその職務にあたらなければならない。
- (1)持続性の確保(Sustainability)
<将来を損なわず、現在を豊かにする>事業活動に必要な経営資源を継続的に確保するとともに、外部環境の変化に合わせて事業活動を改善することにより、雇用の安定を通じて地域経済の活性化に貢献する。
- (2)生産性の向上(Productivity)
<少ない資源で、より多くを産み出す>事業活動に関するノウハウを蓄積・活用し、生産設備が消費する資源の削減に努めることにより、限られた資源の中で事業活動による成果を持続的に増加させる。
- (3)共感の創造(Empathy)
<関係者から共感され、ファンを作る>従業員の健康と適切な処遇、取引先との公正な取引など、人権の尊重をはじめ倫理的に正しい事業活動を営むことにより、社会の一員である企業としての社会的責任を果たす。
- (4)外部不経済の防止(Ecology)
<関係者以外も害さず、又は対策する>環境に配慮した活動に積極的に取り組むことにより、全ての社会経済活動の基盤である気候、海洋、及び森林等の地球環境の安定に貢献するとともに、自然災害等への危機管理を行う。
- (5)情報による変革(Digital)
<多くの情報を使い、付加価値を創る>デジタル技術の活用とデータによる付加価値の創出により、多様な背景を持つ消費者に応じたサービスを物質的な制約及び環境資源の消費なく提供する。
対話と相互理解
本規程に掲げる基本的考え方や方針を具体的に実践するため、取引先を含むステークホルダーとの建設的な対話と相互の理解に努める。
確認と働きかけ
環境又は社会に対し負の影響を及ぼす可能性のある事業活動について、中小企業の金融の円滑化を目的とする金融機関としての使命を常に意識し、国内法令及び国際規範と整合した倫理的な取引を行うため、環境及び社会に対する負の影響を確認し、その縮小に向けた対応策実施の働きかけを行う。
顧客支援
取引先の経営資源及び事業内容、並びに取引先を取り巻く業務環境の変化に適したソリューションを提供し、中小企業の金融円滑化に反する支援消極化を画一的には行わない。
投融資等に対する基本的考え方
当金庫は、中小企業の金融円滑化を目的とした金融機関です。
この目的を常に意識し、国内法令及び国際規範と整合した倫理的な取引を行うため、お客さまの取り巻く環境の変化や事業活動について確認と働きかけを行い、環境や社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。
環境または社会に配慮した取組の方針
当金庫としては、確認の結果、環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性が高い事業との取引については、取組方針を定め、それに従って対応をしていきます。
具体的には、環境・社会に対し、重大な負の影響を及ぼす可能性がある下記の3つについては、取引を行いません。
なお、環境・社会に対し負の影響度がある「石炭火力発電事業」「森林伐採事業」「パーム油農園開発事業」については、事業内容について十分な確認と対話や働きかけを行い、その結果をもとに、対応を検討していきます。
投融資等の取引を行わない事業(3つ)
- 1.非人道兵器の製造を行っている事業
クラスター弾は非人道的な兵器として国際社会から認知されています。また、核兵器、生物・化学兵器、対人地雷は、クラスター弾同様に人道上の問題が大きいと認識しています。こうした認識のもと、これら非人道兵器の製造行為に対する投融資等の取引は行いません。
- 2.児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業
当金庫は世界人権宣言をはじめとする国際規範を尊重しております。責任ある企業活動を促進し、国際社会を含む社会全体の人権保護に貢献していく観点から、特に、搾取的労働慣行には加担すべきではないと認識しています。こうした認識のもと、児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業に対する投融資等は行いません。
- 3.生態系維持・世界遺産保護等の観点から問題がある事業
複雑で多様な生態系が支え合い、食料や水、気候の安定等の恵みがもたらされています。 生態系を支える生物多様性に配慮し、自然環境等の維持・保全に努めていくことが重要と認識しています。こうした認識のもと、以下に該当する事業については投融資等を行いません。
・ラムサール条約指定湿地に負の影響を与える事業
・ユネスコ指定の世界遺産に負の影響を与える事業(※1)
・ワシントン条約(国内法では種の保存法)に違反する事業(※2)- ※1当該国政府及びUNESCOから事前同意ある場合を除く
- ※2各国の留保事項は配慮する
TCFDの概要
近年、異常気象による被害が甚大化しており、持続可能な社会の実現に向けて、世界各国で気候変動に対応していく動きが広がっています。地球環境の保全・保護は人類共通の責務であり、持続可能な社会を実現していくことは、商工中金(以下、当金庫)の重要な経営課題です。
当金庫は、中小企業者の皆さまの取組みを支援すること、また、自身でも取組みを進めていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献します。
当金庫はTCFD(※1)の提言に賛同しています。気候変動に対する取組みの情報開示の重要性を認識しており、TCFDの推奨する形での情報(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)の開示拡充にこれからも取り組んでいきます。
- ※1TCFD
Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
ガバナンス
- 気候変動に関する機会とリスクの識別、評価及び管理に関する事項は、社長執行役員を議長とする経営会議において定期的に議論しています。また、逐次、取締役会に報告しています。
- 気候変動を含む社会の重要課題を解決し、持続可能な社会の実現に向けて積極的な役割を果たすため、サステナビリティ基本規程を策定、取締役会にて決議しています。
- 事業活動を通じて、重点的かつ効果的に貢献する社会の重要な課題(マテリアリティ)を特定しています。
戦略
- 気候変動を含む社会的課題の解決に向けた取組みを推進しています。
- 気候変動が当金庫の経営にもたらす機会とリスクに関して、定性的・定量的なシナリオ分析を行っています。具体的には、気候変動に起因する近年の自然災害を踏まえた物理的リスクや、低炭素社会への移行に伴う気候変動政策や技術革新等により生じる移行リスク及び機会の影響の分析を行っています。
- "SPEED"の視点(※2)を持った事業性評価を起点に、お客さまと気候変動リスクをともに乗り越えるための対話を行い、必要な取組みの実行支援を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
- ※2"SPEED"の視点
当金庫が独自に定めた、組織・職員のサステナビリティに対する取組みの基本的な視点
リスク管理
- 「気候変動リスクへの対応」を経営のトップリスクの一つと認識しています。
- 中小企業の金融円滑化を目的とする金融機関として、お客さまとは"SPEED"の視点を持った建設的な対話と相互理解に努め、情報の把握と提供を継続的に行います。その過程で確認した環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性が高い事業との取引は、「環境または社会に配慮した取組の方針」に沿って対応していきます。
- 気候変動に起因するリスク(移行リスク・物理的リスク)を適切に認識したうえで、これに対応したリスク管理態勢の構築に取り組んでいきます。
指標と目標
- 当金庫の国内事業所におけるCO2排出量の削減目標:2030年度に2013年度比50%の削減、2050年度までのカーボンニュートラル(Scope1、2が対象)
- 当金庫の国内事業所におけるガスや電力等の使用量を基に算出した2021年度のCO2排出量は9,176トンで、2013年度比40%削減しています。
- 当金庫の貸出金に占める炭素関連資産の割合は0.4%です。(2023年3月末)
TCFD提言における炭素関連資産のうち、エネルギーセクター及びユーティリティセクター(水道事業を除く)向けの貸出を対象としております。