輝く地域の中小企業

鋳鋼の技術・技能を磨き上げ
安定経営に向けた設備投資

昭和電気鋳鋼株式会社

1kgの小物から4tの大物までの“品揃え”で顧客ニーズに応える

建機など“働くクルマ”の高品質部品を作る「鋳鋼」

アーク炉でスクラップの鉄を1600℃以上で精錬し、所定の材質に溶解した鋼を取鍋へ“出鋼”する作業

銑鉄を「精錬」して、含まれる炭素を除去すると、靱性・可塑性が高い、つまり、粘り強く割れない“鋼”になる。鋼鉄は、表面は硬いが、曲げ延ばしの加工がしやすい。
鉄の鋳造では、銑鉄を使う「鋳鉄」が主流だが、強靱さが必要な部品では鋼を使う「鋳鋼」が使われる。これは高温の液体となった時、精錬という工程を経て「強靱」という特質を引き出したもので、この「湯」を砂の鋳型に流し込んで鋳鋼鋳物は製造される。この鋳鋼鋳物製造に群馬県で唯一取り組み、全国屈指の生産量を誇るのが、昭和電気鋳鋼株式会社(手塚加津子社長)だ。
同社は、群馬で生糸の織機販売や織機部品製造を手掛けた天野定次郎氏(現社長の祖父)が1939年、昭和電気製鋼株式会社を設立したのが始まり。戦後、製鋼と鋳鋼を2本柱としたが、中小規模で製鋼を続けるのは難しく、81年に鋳鋼専業になり、83年に現社名となった。

「カプラーベース」トラクターとトレーラーを連結する部品の一部

主力製品は重機のシャベルのツメ、トレーラーの動力車と荷台をつなぐカプラーベースなど。鋳鋼の特長である「外は硬く、中は粘り強い」ことが大事な製品で、国内のカプラーベース製造は同社だけが手掛ける。
「当社は特定企業の系列ではないため、建機や産業車両、鉄道車両、破砕機など幅広いメーカーから受注している。少量多品種はもちろん、月産数百のオーダーの量産にも対応している」(手塚社長)

マニュアル化しきれない“暗黙知”の伝承が強みを生む

5S、VM、ISOに取り組み、設備投資も積極化

「次世代にも優れた技術・技能を伝承したい」と語る手塚社長

手塚社長は、2代目の天野和雄社長の娘だが、会社を継ぐ考えはなく専業主婦だった。しかし、2001年に父が急逝し、オーナーとして会社存続を決意。04年に総務部長として入社し、専務を経て07年に社長に就任した。企業風土を変える必要を感じ、コンサルタントの協力を得て5SやVM活動(見える化)など、生産性向上に取り組んだ。

作業表の検証と現場展開。顧客の要望、社長の「理念」を現場に直接伝える(同社提供)

社長就任翌年にリーマンショックに見舞われ、売上が3分の1に激減したが、これを機会に「基本回帰、凡事徹底」の理念を掲げ、カイゼン運動を推進し生産性や品質の向上を実現。品質や環境のISO認証も取得し、業績はV字回復を見せた。これを機に、手塚社長は老朽設備の刷新を決断。新たな溶解炉や造型機、全自動高圧製造ラインも導入した。
「安定した会社にし、社員が喜びと誇りを持って仕事ができるようにしたい。それには、現状維持に陥らず、新素材開発や設備投資など、積極的な経営が求められていると思います」と手塚社長は語る。

企業データ

  • 本社:群馬県高崎市倉賀野町3250
  • HP:http://www.showadenki-chuko.co.jp/
  • TEL:027-346-6075
  • FAX:027-347-7680
  • 創業:1939(昭和14)年5月
  • 設立:1983(昭和58)年2月
  • 資本金:1億円

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