輝く地域の中小企業

障がい者や高齢者、エコの力を推進力に
リネンサプライ事業を展開

株式会社北海道健誠社

バイオマスエネルギー活用で環境・コスト両面でメリット

リネンサプライ事業に商機を見いだし参入

東神楽工場(北海道東神楽町)で最も大型の全自動クリーニング機。10の洗濯槽があり、同時に異なる種類のものが洗える

英語の「リネン(linen)」は、亜麻布や亜麻糸、それを素材とした製品などを指す。かつてはシーツや枕カバーなどの寝具類によく使われていたことから、日本語ではこれらの製品やタオル類なども、麻でなくてもリネンと呼ばれる。このリネンは、旅館や病院では常に清潔に保つため交換が必要なので、早くからアウトソーシングが進んだ分野である。
株式会社北海道健誠社(北海道旭川市、瀧野喜市社長)は、ホテル業をしていた瀧野社長が、出入りするリネンサプライ業者を見て将来性を感じ、1992(平成4)年に創立した。
同年秋には病院用寝具類の洗濯専門工場を開設したが、後発事業者にとって参入障壁は高く、旭川だけでなく全道の病院に売り込みをかけ、それが現在の経営基盤を築いた。

シーツをたたむ仕上げ工程。最新鋭の機械を導入し、人間の手作業を減らし、障がい者が作業しやすい職場環境をつくっている

また、当初はクリーニングのノウハウが未熟で、しみ抜き技術も社長夫人である京子副社長が自己流で努力し物にした。さらに、機械メーカーの協力を得て、しみを自動検知する検査装置「ウルトラアイ」も導入した。
その後、ホームクリーニングも一部扱っているが、売上の3割は病院寝具、5割弱がホテルリネンだ。

資金不足から自然エネルギー利用を積極化、エコで先駆ける

バイオマスボイラーの燃料チップの加工・貯蔵施設。間伐材のほか住宅廃材なども活用してごみを減量すると同時に、CO2を吸収した木を燃やしてCO2が発生するので、カーボンニュートラル(CO2を増やさない)な再生可能エネルギーとなる

最初の数年は商売にならず、ホテル経営からの収入でつないでいた。資金が足りないので、乾燥も無料の太陽熱を使う「天日干し」にしたりもした。この発想が、再生可能エネルギーの活用につながった。
道内は森林が多く、間伐材も多い。その活用事業案が2008年、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「地域バイオマス熱利用フィールドテスト事業」に採択され、工場を建設して取り組んでいる。

“社会貢献”と“利益追求”は矛盾しない

障がい者や高齢者の雇用にも先駆的に取り組む

「これからも地球にやさしく、人にやさしく、環境にやさしい会社でありたい」と語る瀧野社長

瀧野社長の父が障がい者で苦労した経験と、京子副社長がもともと福祉関連の仕事をしていたことから、「障がい者が健常者と同じように生き生きと働ける会社にしたい」との思いが設立時からある。
体の動きが不自由な障がい者は、作業の習得に健常者の数倍かかることもある。しかし、雇用の場が限られていることもあり、覚えてしまえば高い集中力で真面目に取り組む。障がい者としては高い賃金水準もあり、定着率は95%を超える。障がい者雇用率が2割超と高いことで注目を集め、2014年には知事から北海道社会貢献賞の表彰も受けた。
「身近な素人の発想を実現し、経験を積み重ねてきたことが、わが社の強み。環境配慮にしても、障がい者・高齢者の雇用にしても、わが社の利益につながっている。『社会貢献』と『利益追求』は矛盾しないと、強く訴えたい」と語る瀧野社長の言葉は力強い。

企業データ

  • 東神楽工場:北海道上川郡東神楽町北2条西3丁目
  • HP:http://www.kenseisya.co.jp/
  • TEL:0166-68-5121
  • FAX:0166-83-5588
  • 創立:1992(平成4)年6月
  • 資本金:5000万円

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