輝く地域の中小企業

ビニールハウスや輸送資材等で
日本の農業・食品加工を支える

株式会社三洋

技術とノウハウの地道な蓄積と継承が基本

技術やノウハウの蓄積に基づく顧客対応力が強み

農業の現場では、いろいろと「入れる」・「掛ける」ためのビニール製品のニーズがある。コメなど収穫物を入れて輸送するための袋も必要だし、農機に掛けるカバーなども必要だ。株式会社三洋(山形県三川町、石田伸社長)は、ポリ袋製造で創業し、「入れる」「掛ける」ビニールを中心とする農業資材、包装資材、輸送資材などの事業展開で成長している。

創業者の洋会長(現社長の父)は1964(昭和39)年に、ごみ袋などに使うポリ袋の製造・販売を始めた。あるとき、農協と取引するなかで、ポリエチレンを使った農業用機械のカバーを作ったのをきっかけに、収穫したコメなどを入れる「もみ袋」の製造を始めた。もみ袋(コンバイン袋)は、クロス(布製)袋ともいい、ハーベスタ、コンバインで収穫した穀物が収納できる。機械の普及とともに、需要が増え続け、ヒット商品となり、年産400万枚ほどと、東日本トップレベルの販売数を誇る。

ビニールハウスと保冷バッグが事業の2本柱

ビニールハウスの使用例(同社提供)

さらに、袋とカバーの技術を応用してビニールハウスを展開。パイプや鉄骨の曲げ加工を内製化し、地中に埋める部分にポリチューブを巻いて圧着させるシュリンク加工で錆びにくくするなど、独自技術による工夫をこらした。ビニールハウスに掛ける遮光シートも販売した。

ビニールハウス用パイプの曲げ加工(左)。地中に埋める部分を包むポリチューブのシュリンク加工(右)は独自技術。設置場所の環境、広さなどに適した形状のハウスをオーダーメードで製造。曲げるための「型」も多数準備されており、同社の強みとなっている

さらに、強風などでビニールハウスが倒壊したときなど、再建のため地域まるごとに製品供給を行える生産体制を組むなど、農家のニーズにきめ細かく応える姿勢が支持を得て、同社の売上の半分以上を占める主力事業に育っている。
「特にすごい技術があるわけではない」と石田社長は謙遜する。「ただ、自社工場で、曲げ加工からの全工程をこなせる企業は、県内にはない。どのような顧客の要望にも応えられるのが強みだ」

保冷バッグの縫製作業。生地が厚いので、長年の技術・ノウハウの蓄積がものをいう。熟練作業員が、高強度針を備えた高性能の工業用ミシンで、1個1個ていねいに仕上げる(完成品は同社提供写真)

また、コメなどのフレコンバッグの延長上で開拓したのが、保冷バッグ事業だ。他社にない高い機能性が受け、売上の3割を占める第2の柱に成長した。食品、医薬品等の輸送のため、大手スーパー、コンビニ、宅配業者等からの受注が増えており、生産が追いつかない状態だ。
「従来の事業で培ってきた技術とノウハウが、他社製品との差別化につながっている」(石田社長)

営業の「科学」的実践で、顧客ニーズを的確につかむ

顧客ニーズを聞き出す力が強みの源泉

「広く日本の農業関連事業に役立つ企業でありたい」と語る石田社長

月2回、工場を3時間稼働停止して、作業員全員で確認し、改善を議論する。これが工場全体の技術力の底上げにもつながっている。
「本当の強みは、顧客ニーズに応える提案力にある。開発部門は1人しかいないが、営業マンが顧客ニーズを引き出す能力の向上に力を入れている。営業の情熱、根性、気力、人情ではなく、コミュニケーションを『科学』的に実践しているのが最大のノウハウだ。今後も、広く農業・食にかかわるニーズに応える企業であり続けたい」と石田社長は言う。

企業データ

  • 本社:山形県東田川郡三川町大字横山字大正27
  • HP:http://www.sanyo-m.co.jp/
  • TEL:0235-66-3685
  • FAX:0235-66-4188
  • 創業:1964(昭和39)年4月
  • 設立:1968(昭和43)年12月
  • 資本金:3000万円

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