輝く地域の中小企業

鉄を“溶かす”を軸に
〈溶射〉で次の100年を切り開く

株式会社コダマ

〈溶解〉〈溶接〉〈溶射〉の“3溶”で発展

「たたら製鉄」の伝統を継ぎ、鋳物で創業

製鋼用鋳型の製造工程。大手製鋼メーカー向けの製品で、耐久性、鋳肌の精密さは他社の追随を許さない(同社提供)

「踏鞴」とは、足で踏んで空気を送り出す「鞴」のこと。これを使って日本で古代から行われてきたのが「たたら製鉄」だ。長きにわたり日本で使われる鉄を生み出してきた技法だが、明治期に西洋式の近代的製鉄所ができると、たたら製鉄は歩留まりの悪さなどもあって廃れた。
たたらの中心地であった島根県では、今も鉄鋼業の伝統が息づく。そこで鉄を「溶かす」技術、〈溶解〉〈溶接〉〈溶射〉をコンセプトに事業を広げてきたのが、株式会社コダマ(松江市、児玉泰州社長)だ。
〈溶解〉は、同社が創業時から取り組む「鋳造」である。1919年、児玉社長の祖父信吉氏がおじから鋳造技術を教わり創業。船舶のエンジン部品や工作機械用部品などを鋳造した。
同時に、製鋼メーカーの現場におけるパートナーとして、鋼の塊を作るための金型である製鋼用鋳型なども製作してきた。耐久性などの高い品質はもちろん、表面処理加工の技術も高く、鋳肌の精密さでも高い評価を受けている。

プラントエンジニアリングで大手工場とともに成長

〈溶接〉の作業風景(同社提供)

〈溶接〉は、製鋼メーカーの現場のニーズから取り組むようになったプラントエンジニアリングを象徴する言葉だ。66年に新事業としてスタートした。そこで、溶接から、厚板板金、プラントのメンテナンス関連作業を請け負い、80年代半ばには、電炉移設の大プロジェクトも任されるなど、着実に技術とノウハウを蓄積してきた。
現在は、プラントの企画・設計から製造・施工・メンテナンスまでを手がけ、付加価値の高い工場を実現する。また、電柱の芯に使われる特殊な金属アモルファストランスコアをリサイクルする設備を自社工場内に設置し、運営を受託するなど、相手先のニーズを形にすることで、事業を拡大している。

「人、挑戦、未来」をモットーに、さらなる飛躍を

注目の新分野〈溶射〉で未来を切り開く

次世代の柱として育ててきたのが〈溶射〉だ。表面処理の一種で、セラミックや金属の粉末などを高温で溶かしながら吹き付ける。部品の長寿命化でコスト削減になるほか、耐熱性や耐候性などの機能を付与できる。そのため、従来の機械部品だけでなく、自動車や家電などの部品にも応用が広がっている。

「島根県に伝わる製鉄文化の伝統に、技術革新を加えて将来に伝え、新たな飛躍の礎にしたい」と語る児玉社長

87年から溶射部門を設立し、研究機関を設け、新技術の開発体制も整えている。現在は「電磁波シールドコーティング」を開発し、樹脂や木材の素材にもコーティングすることで事業の可能性を広げている。
この技術を生かして、県外への事業拡大も目論む児玉社長。「製鉄文化の伝統のなかで人を育て新しいフィールドに挑戦し、さらなる飛躍を目指す」と、来年創業100年を迎える同社の次の100年を見据える。

企業データ

  • 本社:松江市富士見町1-3
  • HP:http://www.k-kodama.co.jp/
  • TEL:0852-37-1131
  • FAX:0852-37-1134
  • 創業:1919(大正8)年4月
  • 設立:1947(昭和22)年10月
  • 資本金:2000万円

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