輝く地域の中小企業

独自技術と精密ダイカストで
自動車等部品の頂点を目指す

アクロナイネン株式会社

高度な技術開発に挑戦、他社の追随を許さない

他社に真似できない技術で他社が作らない製品を

ブレーキ、クラッチ、ピストンは違う技術分野の製品なので、ふつう一社では製造しない。事業拡大を図るなか、それを一社で担うのがアクロナイネン株式会社(和歌山市、勝本真人社長)だ。二輪、農機、産業用機械などの部品で圧倒的なシェアを誇る。
同社は1963年、勝本僖一会長がエンジンのピストンの営業マンをしていた頃に、エンジン修理再生事業で創業した和歌山内燃機工作所に始まる。摩擦材のノウハウを得て自動二輪のブレーキ製造に乗り出し、68年に和歌山内燃機株式会社を設立した。

同社製の遠心クラッチ。二輪車、農機具、産業用機械などで使われ、国内シェア90%を誇る

その頃、M&Aでブレーキ台を製造するダイカスト技術も手中に収め、この技術を使った各種機械部品の製造にも進出した。現在、売上の半分はダイカスト技術を使った製品だ。
一方、摩擦材の応用でクラッチの製造にも乗り出し、農機から産業用機械へと取引先を広げていった。

ダイカスト技術でエンジンのピストンも製造

形状検査。わずかな誤差も見逃さない

「ブレーキやクラッチだけでは、いずれ他社に追いつき、追い越される」と考えた僖一会長は、他社では真似のできないダイカスト技術の応用を考えた。そこで取り組んだのが、ピストンの製造だ。
軽量化のためアルミ合金が使われるが、ダイカストに適した合金では強度が不十分なので、溶湯をゆっくり注入するグラビティ鋳造で製造されていた。それを、溶湯に圧力をかけて注入するダイカストで効率よく製造する技術を開発したのだ。
84年にクーラー用コンプレッサーピストン製造を始め、その翌年には小型エンジン用を製造開始。従来品に劣らない性能と、ダイカストならではの納期短縮、材料費削減が評価された。

絶えず次の事業の「柱」について考える

先を見越した製品・技術の開発で“少し前を歩く”

「自分は後、相手を先に考え、仕事では“少し前を歩く”ことが大切」と語る勝本僖一会長(左)と真人社長(右)

「自分の都合ではなく、先に相手のことを考えるようにしてきた。そうやって、顧客の高い要求水準に応えることが、当社の技術力を高め、次の受注にもつながった」という僖一会長。単に相手の注文を聞くだけでなく、その背景にある技術の変化を察知し、相手が本当に求めるもの、これから求めてくるものを読み取り、提案してきた。
「問題が起こってから解決するのでは遅い。少し前を歩けば、費用も低く済むし、精神的にも楽だ。いつも一歩先を考えていれば、チャンスに早く気づくことができるので、それを掴むだけでいい」

金めっき配線のタッチパネル部品。同社は枠部分の製造を担当しており、次代の柱として期待がかかる

そう語る僖一会長が、次の事業の柱と考えているのが、金めっき配線のタッチパネルの部品だ。
「金めっき配線は世界初。材料費が高くつくと誰もが思うが、安上がりにできる技術を開発した。スマートフォンはもちろん、大型化が可能なので電子黒板などにも応用できる。すでに中国の大手カーナビメーカーで採用され、さらに受注が広がる可能性がある」と期待はふくらむ。

企業データ

  • 本社:和歌山市西浜789-3
  • HP:http://w-ksk.co.jp/
  • TEL:073-424-8101
  • FAX:073-435-2111
  • 創業:1963(昭和38)年11月
  • 設立:1968(昭和43)年2月
  • 資本金:1億4750万円

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