輝く地域の中小企業

食品の香りを「乳」に特化して探究、
提案力で躍進する香料メーカー

株式会社サンアロマ

最新鋭の設備と熟練の調香師が良い香りを生み出す

人の心をつかむ「香り」を食品に

滋賀工場(滋賀県甲賀市)。最新鋭の設備を備え、食品安全の認証を取得している

人でも食品でも第一印象を大きく左右するものに「香り」がある。香りには、心理的・生理的作用があり、人にまつわるフレグランスは、単に印象だけでなく、癒やしの空間を生み出す効果もある。また、食品にまつわるフレーバーは、「おいしさ」を左右する重要な要素でもある。
このような香りの提案力で躍進する香料メーカーが株式会社サンアロマ(大阪府吹田市、杉山勲社長)だ。
主力は乳系フレーバーを軸とする食品用香料で、用途はアイスクリームを中心に冷菓をはじめ、飲料、デザート、製菓、製パンなど各種食品に広がっている。

調合するための「ベース香料」のびんが並ぶ

さらには、「乳等を主要原料とする食品」や「乳加工品」などにも手を広げている。
同社は、現社長の父・杉山保会長が、香料会社勤務の経験を生かして創業した。
休眠状態の食品会社を継承する形での創業で、設立年は創業前となる。当初は化粧品関連香料を作ったが、ニーズの見込める食品関連が中心となっていった。

乳素材のフレーバーを乳製品に展開

新製品の開発現場。ベース香料に囲まれたボックス型ラボで、多くの種類の香料を混ぜ合わせて配合比率を変えていく(本社研究所)

現在軸足を置いている乳系フレーバーは、アイスクリームなどの乳素材に生かせると考え、実際に自社製フレーバーを加えたアイスを試作して顧客にプレゼンしたところ、顧客が素早く反応し、拡販につながったものである。アイスの技術に長けた技術者も雇って展開を積極化した。そのなかで、乳系以外のフレーバーも拡販した。
これが同社の成功のモデルとなり、アイスクリーム以外でも、製品で同社の香料を使えばどうなるかを実際に作ってみせるため、試作のためのスタッフや設備も揃えている。

ガスクロマトグラフ。におい成分を分析する(本社研究所)

また、「酵素」による発酵についても、早くから取り入れてきた。
乳原料などを酵素で発酵させて作った「乳主原」香料は、香りが凝縮されて濃く、食品に深い味わいやコクを生み出す。
この香料は、加熱殺菌で失われる香りを補うため広く使われている。
現在、売上の9割はフレーバーで、そのうち7割を乳系フレーバーが占める。バターの風味が強いケーキやパン、コーヒー用のフレッシュクリーム、粉末のミルクコーヒー……列挙すれば切りがない。
同社製品は食生活のすみずみに入り込んでいる。

良い人材を良好な環境に置くことで良い製品が生まれる

良い香りは良い雰囲気のなかで“人”が生み出す

将来の構想を語る杉山保会長(創業者・左)と勲社長

香料の調合、攪拌、成分分析などの機械の技術の進歩は著しいが、同社では最終段階の仕上げの微妙な判断は、熟練調香師が行う。
「会長の時代から、社員が気持ちよく出社し、心身ともに健康で調合作業に集中できる環境づくりを重視してきた。良い雰囲気のなか、リラックスして調合することが、良い香りを生み出すのだから」と語る杉山社長。「今後は香料に限定せず、食品素材全般に可能性を求め、新たな分野を開拓していきたい」と夢を膨らませている。

企業データ

  • 本社事務所・研究所:大阪府摂津市鳥飼本町2-12-37
  • HP:http://www.sun-aroma.com/
  • TEL:072-653-3555
  • FAX:072-653-3666
  • 創業:1968(昭和43)年11月
  • 設立:1959(昭和34)年11月
  • 資本金:5000万円

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