輝く地域の中小企業
国内最大の靴下産地で
共同でブランド化に取り組む
奈良県靴下工業協同組合

“一度履けば、奈良の靴下の良さは必ず分かる”
国内最大の靴下産地・奈良のイメージの確立へ向けて

日本人が着る衣類は、生産の海外移転が進んで久しい。靴下も、ストッキングやタイツなどの輸入浸透率こそ6割弱だが、ソックスを含めた全体では83%と、輸入品が市場を席巻している(日本靴下協会調べ)。
そのなかで、国内に残った最大の産地が奈良県だ。国内靴下生産シェアはソックスで6割、ストッキング等を含めた全体でも3分の1に上る(数量ベース、日本靴下工業組合連合会調べ)。しかしながら、OEM(相手先ブランド)生産が多く、「国内最大の靴下産地・奈良」のイメージは薄い。
このイメージを確立し、さらにブランド力を高めることに取り組んでいるのが、奈良県靴下工業協同組合(大和高田市、喜夛輝昌理事長)だ。
奈良県は江戸時代から綿花生産が盛んで、「大和木綿」は高品質で知られた。しかし、明治期にはインド綿の流入で衰退し、その代替産業として始めた靴下製造が広まり、一大産地になった。戦後、素材はナイロンに替わったが、靴下づくりのノウハウの蓄積を生かし、多くの業者が切磋琢磨しながら品質を追求してきた。しかし、輸入品に押されて苦しむなか、組合員数は半減した。
商品認定制度で、奈良県産の「良質」さをアピール
ブランド力向上の最初の取り組みは、「奈良県靴下商品認定制度」である。2014年に開始したもので、従来国産品の良さを伝えきれなかった靴下の分野で、奈良県産であることをまず認識してもらうものだ。
組合員の企業が編み立て・加工した製品で、企業名を明示し、組合が作った「奈良県靴下品質基準」を満たすことなどが条件。認定審査会で合格すると、「奈良産」を明示した「認定マークシール」が貼れる。



“靴下ソムリエ”を通じ、奈良靴下ファンを増やす
最高にプレミアムな靴下を奈良から

次に取り組んだのは、ベターゾーン商品のブランド化だ。組合員の企業から機能性、デザインなどに優れた商品を集めて産地のフラッグシップブランド「The Pair」を立ち上げた。2017年3月から35商品の販売が始まり、現在は88商品ある。
製品開発で重視しているのは、消費者との「双方向型企画」とすること。消費者ニーズをかたちにすることで、ファン獲得を目指している。

その場合、消費者と商品をつなぐ存在が欠かせないが、作り手が店頭に立つのには限界がある。そこで、店頭スタッフを、直接消費者へ靴下の良さを伝え、ニーズを吸収する“伝道師”に育成するため創設したのが「靴下ソムリエ資格認定制度」だ。
靴下の歴史、原料、製造工程、用語、接客などについてテキストを作成して試験を行い、17年10月には第1回合格者292名が発表された。今後、店頭はもちろん、SNSなどでの発信が期待されるが、試着できない靴下では、こうしたアピール強化は特に重要だ。
「これらの取り組みは、個社ではなく組合だからこそできた。現在の参加社は10社ほどだが、今後さらに増やし、産地活性化につなげたい」と喜夛理事長は抱負を語る。
企業データ
- 所在地:奈良県大和高田市日之出西本町6-23 センイ会館2階
- HP:http://www.apparel-nara.com/socks/
- TEL:0745-22-5000
- FAX:0745-52-7788
- 設立:1950(昭和25)年8月
- 出資金:2274万円
- 組合員数:140事業所
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