輝く地域の中小企業

物流保管のスチールラックをコアに
植物工場で100年企業を目指す

三進金属工業株式会社

地道に培ったラック製造技術でトップ企業に

棚板作りの日本一を目指して

移動ラック。棚同士のすき間を減らし空間を有効活用できる。ハンドルを回す3段ギア(特許取得済み)が特長で、「移動ラックは三進」とキャンペーンを展開した

空間を有効活用する「スペースコントロール(空間の管理)」。そのために物流拠点や倉庫、工場、図書館などで活躍するスチールラックを製造・販売するのが、三進金属工業株式会社(大阪府忠岡町、新井宏昌社長)だ。大阪と福島に工場を持ち、北海道から沖縄まで営業拠点を展開している。
同社は1964(昭和39)年、現会長の新井正準氏がシャーリング加工(鋼板等の剪断)および鋼材販売で創業した。翌年から始めたスチール棚板製造が好調で、67年には工場を新設し、株式会社化した。

カール曲げ工程。棚板の四辺を短く折り曲げた部分「框(かまち)」の端を、筒状にすることで強度を出す。これにより板の厚さ(=重さ)を半分にできる。同社製品の躍進をもたらしたコア技術

独自の品質向上の取り組みなどもあって事業は順調に伸び、大阪と奈良に工場を数カ所展開するに至ったが、80年、合理化のため現在地に本社・工場を集約した。販売網も全国展開し、89年には東の生産拠点として福島に工場を建設した。販売網を通じた迅速なメンテナンス対応で、信頼・信用を培ってきた。
棚板は単純に見えるが、実は商品サイズや用途によって個別に設計することで、空間を最大限に有効活用することができる。発注者のニーズに丁寧に対応している。また、94年にはデジタルピッキングシステムを開発し、IT時代に合った物流倉庫ソリューションを提供する。

自然および地域との共生を追求する福島新工場

現在の福島工場は県東部、阿武隈高原の山中、平田村にある。これは郡山市に3カ所あった工場を集約・拡張するため2001年に新設したものだ。当時の平田村村長の熱烈な誘致に感銘した新井会長は、自らの住民票も移して、呼びかけに応えた。
平田村への移転にあたり、新井会長はスウェーデンで見た工場を念頭に「美しい自然に囲まれたものづくりの理想郷」を目指した。塗装工程で出る廃水は、1日貯水槽に置いて浄化して再使用する内部循環システムで、塗装廃液ゼロを実現。周辺で井戸水を使用する住民に配慮した。また、社員食堂「緑正館」を地元住民のコミュニティー施設として活用、コンサートや食事会などを開催している。

社員食堂「緑正館」。内装には地元産の木材をふんだんに利用している。
建設で出た岩を活用した「サンシンナイアガラの滝」では、チョウザメを飼育。
植物工場で栽培された野菜は、社員食堂で利用される。
内閣総理大臣賞の盾

これらの取り組みは環境対応が盛んになる前からのもので、後に受注で優位をもたらし、14年の「第8回みどりの式典」では、天皇皇后両陛下ご臨席のもと「緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰」を受けた。

“自然と地域との共生”を目指して

植物工場への新事業展開で100年企業を目指す

未来に続く100年企業に向けて展開する植物工場事業、AI、IoTの活用による省力化、ラックが秘める無限の可能性について語る新井会長

同社が将来の柱として期待するのが農業事業だ。ラックの技術を応用し、植物工場システムを開発した。
大阪本社に研究設備を置き、大学研究機関とも連携、農業専攻の学生を採用している。17年には農業法人サンシン夢ファーム株式会社を平田村に設立して総合的な農業関連情報の収集に努め、何をどのように栽培するかまで含め付加価値の高い事業としての植物工場を顧客に提案する。
「人間が生きる上で食は不可欠で、さらに充実すべきだ」と語る新井会長。「自然と地域との共生」を図り、100年企業を目指す。

企業データ

  • 本社:大阪府泉北郡忠岡町新浜2-5-20
  • HP:http://www.sanshinkinzoku.co.jp/
  • TEL:072-436-0251
  • FAX:072-436-0259
  • 福島工場:福島県石川郡平田村大字西山字煙石101
  • TEL:0247-24-1511
  • FAX:0247-24-1521
  • 創業:1964(昭和39)年11月
  • 設立:1967(昭和42)年4月
  • 資本金:3829万円

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