輝く地域の中小企業

IoT活用で24時間稼働し
信頼も生む金属加工工場を実現

株式会社ワールド山内

IoT活用で工場を無人化、コスト削減で少量多品種

単なる鉄工所から世界を目指す企業へ

農業機械用部品の製造工程

北海道札幌市と千歳空港との間に位置する北広島市の大曲工業団地。そこを拠点に金属製品のトータルプロデュースに取り組むのが、株式会社ワールド山内(山内雄矢社長)だ。設計から板金、機械加工、溶接、焼付塗装まで、金属製品を社内一貫生産できる。受注先は、農業関連から自動車、航空機、宇宙開発関連まで多様な業種に広がっており、小ロットの注文であっても何でもこなしてきた。
山内社長の祖父鉄雄氏が1955(昭和30)年、札幌近辺の農家の農機具や井戸のポンプを修理する山内鉄工所を創業した。しかし、鉄雄氏が病気になったのをきっかけに、山内社長の父静治氏(現会長)が72年に社長を引き継ぎ、北海道外からも受注するようになった。世界に社名を広げたいとの意気込みで、83年に現社名で株式会社化し、88年から現在地に工場を構える。

プレスブレーキ(折り曲げ加工機械)。シャッターの巻き上げ装置の部品を製造している。24時間、全自動で製品が流れ、センサーで形状を感知し、角度補正をしながら曲げていく。人間の勘よりも高精度で、均質な加工ができる。タブレット端末などから遠隔操作が可能。社長自身が遠隔操作することもある

現社長は92年頃から学生アルバイトとして同社で働いたが、その頃は古い職人が中心で、若い職人は定着しない状況だった。改革が必要だと感じ、入社後は生産管理ソフトウエアを自作し、社内体制整備を進めた。前社長も「職人で飯が食える時代は終わる。知恵と設備力がなければならない」との考えから、この動きを後押しした。

IT化の推進で無人化を進め、IoTも活用し生産管理

工場内でもタブレットを持ち、情報の登録や機械操作が可能(同社提供)

同社は、「人の介在しないものづくり」による合理化、品質向上を目指し、IT化を推進した。高精度の加工ができる機械への設備投資を惜しまず、これら最新鋭の機械の技術を駆使することで、安定した高品質の製品の製造を可能にするとともに、大幅な無人化により、工場の24時間稼働を可能としている。

工場の稼働状況はソフト上のバーチャルファクトリーで「見える化」され、一目でわかるようになっている。トラブルも、軽微なものなら遠隔操作で処理して稼働再開できる。
無人化の進んだ工場により人件費も削減され、製品ごとのコスト管理を行うことで、高品質、低価格、短納期を実現している。
また、すべての製造工程を記録管理し、高いトレーサビリティを実現している。これは、顧客への品質保証となるとともに、加工時間などのデータを蓄積して納期を自動的に算出、顧客への最短納期の提案を可能とする。同社には、全国から受注が集まってくる。この徹底したIT化工場への注目度は高く、年間約1千件もの工場見学を受けている。

バーチャルファクトリー。ラインの稼働状況を見える化し、遠くからリアルタイムで把握し、操作することが可能になっている(同社提供)
工場内には40台ほどカメラが設置され、機械や人の動きを画像と音声で確認できる。安全管理および作業記録の履歴を自動で取り(トレーサビリティ)、このデータの蓄積が顧客の信頼を高め、納期管理や効率化にも役立つ

高水準のトレーサビリティが顧客の信頼を生む

最先端の技術と生産管理で北海道から世界を目指す

プロジェクターでリアルタイムに実際の工場内の様子を見ることができ、来訪者にレクチャーも可能

「単なる下請を脱して、メーカーにとって絶対必要な存在にならないといけない」と語る山内社長。製品はメーカーの名前で、商社を通じて世界にも供給されている。「強いだけでは生き残れない。変化への対応力が必要だ」
ものづくりをめぐる環境が大きく変わるなか、自社ブランド製品も手がけたいと、夢は大きく広がる。

企業データ

  • 本社:北海道北広島市大曲工業団地4-3-33
  • HP:http://www.world-yamauchi.co.jp/
  • TEL:011-377-5766
  • FAX:011-377-5779
  • 創業:1955(昭和30)年1月
  • 設立:1983(昭和58)年6月
  • 資本金:7000万円

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