輝く地域の中小企業

大型プラント設備の設計から
設置・保守まで一貫受注で躍進

徳機株式会社

鏡板加工・溶接技術を強みに大型・厚物で国内トップ

鏡板から圧力容器製造へ展開、設計から保守まで一貫体制

発電施設用のプラント設備の溶接作業

瀬戸内工業地域は、地の利を生かした伝統的な造船業や石油化学コンビナートなどが集積する。山口県周南市に本社を置く徳機株式会社(岡田哲矢社長)は、タンクなどのプラント設備を事業の柱とし、その設計・製造から現地での据え付け、配管、メンテナンスまでを一貫体制で行う。
創業者である岡田利徳氏(現社長の祖父)は、もともと官営八幡製鐵所に勤めていた。その関係で、利徳氏が1948(昭和23)年、スクラップの買い付けを行う小売商を北九州市に設立したのが同社の始まりである。終戦で、徳山市(現周南市)にある海軍燃料廠が解体され大量のスクラップが出ると聞きつけ、現地に移転。53年に燃料関連機械を製造するタンクメーカーを買収し機械分野に進出した。

大型の鏡板の製造工程。一枚板でつくれない場合は花弁状のセグメントを溶接する

当初はクレーンの製造などを手がけ、58年から「鏡板」の製造を始めた。鏡板とは、金属板を曲げて曲面をつけたもので、燃料等を入れる円筒状圧力容器の両端にある「ふた」の部分のほか、胴体の円筒も、大型のものは半円状に曲げた2枚の鏡板を溶接してつくる。また、圧力容器の製造、さらには熱交換器、反応器の製造へと事業を広げた。
現在は、福島県いわき市にも工場を置いており、全国にプラント設備を供給する。また、関連事業や地元密着型の会社など、グループ企業は14社を数える。

プラントごとの特注の設備を高い技術で製造

円筒状のタンクの胴体部分に使われる鏡板「半割胴型」の加工。プレスで曲げていく

プラント設備には量産品はなく、プラントごとの特注となる。数多くの受注によるノウハウの蓄積が技術力にも反映される。特に同社の強みとなっているのは、卓越した鏡板加工と溶接の技術である。大型のものの加工はプレス機に頼る部分が大きく、金属の特性を見極めて、機械を使いこなすノウハウの差が仕上がりの差となる。同社は、鏡板のうち大型、厚物に関しては国内トップシェアを誇っている。
また、配管の溶接では熟練作業員を揃えており、業界内での信頼も厚く、収益の基盤ともなっている。

工事や機械製造で事業の柱を増やす

新たな事業の柱として機械部門も拡大

今後の事業展開について語る岡田社長

コア事業でトップランナーとして活躍する同社だが、「この状況に安閑とせず、将来に向けた新たな“柱”の構築が必要だ」と岡田社長は言う。
機械部門では、ドイツ製の独占状態にあった樹脂ペレット切断機(ペレタイザー)の開発に2002年に参入した。地場の名門企業の倒産に伴い、地元に優秀な人材を残すため技術者を受け入れたのだが、彼らが持っていた開発テーマのなかから選んで取り組んだものだ。開発に当たり「新連携計画」の認定を受け高い評価を得て、新規受注が順調に増えている。
さらに、地元企業との共同開発による、食品用のベルトコンベヤー自動クリーニングシステム、福祉関連機器(介護用リフト)など、さらなる事業の柱の模索が続く。

企業データ

  • 本社:山口県周南市港町11-1
  • HP:http://www.tokkiltd.co.jp/
  • TEL:0834-63-1234
  • FAX:0834-63-8877
  • 創業・設立:1934(昭和9)年2月
  • 資本金:5000万円

商工中金は中小企業の価値向上に取組み、地域経済の活性化に貢献してまいります。まずは、ご相談ください。

お近くの各営業店までお電話ください。

受付時間 9:00~17:00(土・日・祝祭日・12/31を除く)