輝く地域の中小企業

農場から食卓まで安全安心を
提供する食の“製造小売”

株式会社サンクゼール

「田舎の豊かさ、心地よさ」を伝えるジャムやワイン

創業者がフランスで抱いた「田舎から世界へ」の夢

主力商品の「オールフルーツジャム」、ブドウの酸味を生かしたすっきりした味わいが特徴のワイン〈シャルドネ〉、地元飯綱町のリンゴから造ったシードル、パスタソース(ガーリック&トマト)、テーブルソース(農場タルタルソース)

自社製造のワインやジャム、パスタソースなどを販売するメーカーズブランドのサンクゼール、和食材の隠れた地元の逸品を全国から集めるセレクトショップ久世福商店は、全国主要都市に直営・FC店舗を展開し、安全安心、品質を求める意識の高い消費者の支持を得ている。運営する株式会社サンクゼール(長野県飯綱町、久世良太社長)は、サンクゼールで販売するジャムやワインの製造からワイン用ブドウの生産まで手がける。
創業のきっかけは、長野と新潟に跨る斑尾高原でスキー客相手のペンションを、現社長の父・良三氏(現会長)が開業したこと。良三氏の妻のまゆみさんが地元のリンゴをジャムにして宿泊客の朝食でサービスしたところ、売ってほしいという声が相次ぎ、長野市のメーカーに製造を委託して商品化した。

サンクゼールの丘。ノルマンディーをイメージして創業者が造り上げた、一種のテーマパークで、イベントなども開催する

やがてジャムの企画販売を主業に株式会社化し、ペンションは閉じた。転機は、フランスのノルマンディーを良三氏夫妻が訪れたとき。リンゴの発泡酒シードルやブランデー・カルヴァドスの名産地で、リンゴ畑の中で牛が飼われ、ブランデーを造る蒸留所があり、観光客相手の直売所で売り切れるという。村人たちは、世界に認められる商品をつくり、誇りを持って自立している。食事も、おしゃべりをしながら2、3時間かけてゆったりと取っている。
当時先の見えない悲観に覆われていた日本の農村と大違いの光景に衝撃を受けた良三氏は、長野でこの世界を実現しようと奮起した。
良三氏は、帰国すると土地を手に入れ、ジャム製造工場やワイナリー、店舗を建設し、製造、販売の一貫体制を構築した。苦難の時代もあったが、1998年の長野冬季五輪に際し、同社のジャムが公式商品に認められ、注文が殺到した。これが99年のサンクゼール・ワイナリー一号(軽井沢)店開店と重なり、知名度も上がり、事業は拡大の波に乗った。

毎日食べて飽きない“お母さんの味”が目標

第2創業の「久世福商店」を経て世界の6次産業へ

将来に向けた展開を語る久世社長

久世福商店は2013年にプロジェクトを始動し、同年12月に一号店をオープン。良三氏の長男である久世社長(18年就任)が、専務時代に自ら立ち上げた第2創業を企図した事業だ。きっかけは、アジア展開を進めるなか、日本の会社なら和食材をと要望されたこと。自らの食文化のルーツを見直すとともに、新事業では製造はせず、各地のこだわりのメーカーを発掘することにした。メーカー側も、こだわりの品をつくりたいけれども量販店や百貨店での展開はむずかしいなか、新たなビジネスモデルで販路開拓につながると、現在全国の約550社が協力する。
多種少量を各店舗に供給するため、立ち上げ当初約2500アイテムを扱う物流システムを自社で構築。消費者の支持を得て店舗数も順調に伸びている。
「米国販売ブランド『KUZEFUKU&SONS』の展開を開始しました。今度は世界のおいしいものを届けたいと思っていて、おいしい農産物のある米オレゴン州に工場も造りました。世界規模での6次産業化ができればいいと思っています」と久世社長の夢は大きく広がる。

企業データ

  • 本社:長野県上水内郡飯綱町芋川1260
  • HP:http://www.stcousair.co.jp/
  • TEL:026-253-7002
  • FAX:026-253-6877
  • 創業:1979(昭和54)年6月
  • 設立:1982(昭和57)年6月
  • 資本金:1億円

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