輝く地域の中小企業

“愛”の人材育成で溶接技術を高め
熱交換器、圧力容器で躍進

株式会社ケーイーコーポレーション

人材教育に注力し、高い技術を継承

熱交換器、圧力容器の製造で培った技術を業務用食品冷却機に応用

写真左・圧力容器(コンプレッサー用)、右・熱交換器(冷凍庫、業務用空調機用)

高圧に耐える金属製の圧力容器には、部品の接続に高い溶接技術が欠かせない。少しでも溶接に不良があると、容器が爆発しかねないからだ。熱交換器も、熱を吸収・放散する冷媒が通る容器の末端部の溶接が頑丈でなければ、冷媒漏れによる重大な事故が起こりかねない。
高度な溶接技術を核として、業務用の熱交換器や圧力容器、コンプレッサーの部品などの関連製品で確かな信頼を得ているのが株式会社ケーイーコーポレーション(静岡市、梶本丈喜社長)だ。
同社は1910年、梶本藤三郎氏(現社長の祖父)が創業した梶本鉄工所に始まり、100年を超える歴史を持つ。鉄橋用の鉄骨の製造から製缶プレス板金加工に転じ、戦後は、旧清水市に移転し造船所の橋型クレーンを製造した。造船不況で70年代中頃から電機大手の下請として圧力容器や熱交換器を手がけた。

アイスウォーターチラーシステム。24時間稼働する工場で0℃に近い定温冷水を連続供給できる。コンビニ向けの製麺工場で、茹でた麺を冷水で締めてコシを出すのにも使われる装置で、同社製の熱交換器を使い、関連会社KE・OSマシナリー株式会社で組み立て販売する(同社提供)

80年代には新ビジネスの立ち上げを決意し、食品冷却装置に着目。漬け物や豆腐の冷却に始まり、さまざまな製品を開発。数年前より、茹でた麺を冷却するアイスウォーターチラーシステムが大手コンビニの加工工場に導入されている。
このアイスウォーターチラーの要となるのは、熱交換器づくりの高度な加工技術とシステムノウハウである。関連会社のKE・OSマシナリー株式会社では、このような技術を生かし、各種冷却機など最終製品を製造・販売している。

人材育成に注力し高度な技術を継承

「アキュムレータ・レシーバ全自動溶接ロボット」

これら同社製品の高いクオリティーを担保するのは、高度な溶接技術だ。
静岡県溶接技術競技大会で連覇するなど、高い技術を誇る同社では、ベテランの技術が高いのはもちろん、社是「愛」のもと、人材育成にも力を入れている。
入社した社員一人一人に、能力に応じた個別の訓練メニューを作成し、教育担当者となった先輩が後輩を熟練の技術者へと育成するシステムを整えている。技術競技大会で連覇を果たした技術者も、入社後に技術を身につけたという。

「一点突破の精神」でイノベーションに挑み続ける

イノベーションが社運を決める

「イノベーションや開発は社長が決断すべき」と語る梶本社長

同社の事業の柱は時代により、大きく転換してきた。それを支えてきたのが、歴代社長のイノベーションに積極的な姿勢だ。「経営理念にある『一点突破の精神をもって機会や課題に挑戦する』を実践してきた。挑戦しない組織は滅びる」(梶本社長)「イノベーション、開発の決定、遂行は社長の責任だ。利益の出ているうちに開発に投資することができた企業が長生きし、業績も安定する。企業の目的は“永続”にあり、利益は手段に過ぎない。わが社はファミリー企業なので、社長がオーナーシップを発揮し、中長期的な視点で決断できるのも強みだ。今も、社長直轄で新規プロジェクトを進めている」と、次の事業の柱の模索は続く。

企業データ

  • 本社:静岡市清水区宮加三715番地
  • HP:http://www.kecorp.com/
  • TEL:054-334-5678
  • FAX:054-335-4808
  • 創業:1910(明治43)年
  • 設立:1946(昭和21)年6月
  • 資本金:9,000万円

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