輝く地域の中小企業

高度なダイカスト技術と
仕上げまでの一貫生産で躍進

株式会社双立

複雑な形状で強靱な薄肉金属部品の製造に強み

カメラ、家電部品から自動車部品へ展開

ダイカストマシンで鋳造した製品を取り出す

 ダイカストは鋳造の一種で、溶融金属に圧力をかけて金型に注入する。鋳型が金型なので大量生産が可能で、寸法精度が高い。表面が滑らかなので表面処理がしやすく、薄肉で強靱製の高い複雑な形状の製品も製造可能で、軽量化にも有利な製法である。
 このダイカストの高い技術で発展してきたのが㈱双立(大阪府堺市、桑名恵子社長)だ。現社長の祖父・桑名常吉前会長(故人)が1941(昭和16)年、扶桑ダイカスト工業所を大阪市で創業し、飛行機用部品を製造。戦後は、松下電器、シャープ、三洋など家電大手や、カメラのミノルタの部品などを製造した。
 さらに、自動車の普及とともに、二輪・四輪の部品も手がけるようになり、高い技術力により、さまざまな重要保安部品も製造している。

PF法、真空法などダイカスト技術を開拓

左 外観検査。目視で傷の有無、バリ残り、加工忘れなどがないことを確認する。右 三次元測定器。0.001㎜の精度で測定し、正しく製造できたかを確認する

 自動車部品には強度・耐摩耗性・軽量などが求められるが、それを可能にするのが、PF(無孔性)ダイカスト法、真空ダイカスト法などの高度な技術である。
 たとえば、PF法では、鋳型の空間を純酸素など活性ガスで満たして溶融金属を注入すると、ガスと化学反応して気体が消え、鋳巣(気孔)の少ない鋳造品が得られる。鋳巣が少ないと熱処理が容易なので、焼き入れで強度を高めることができる。
 鋳型空間を真空状態にして金属を流し込む真空法は、鋳型内の空気抵抗がほぼないため外観品質が向上し、薄肉品もつくりやすい。
 また、製品の金属組織が緻密かつ均一になり、鋳巣も極めて少なくなるナノキャスト法(半凝固ダイカスト法)では、アルミ合金や亜鉛合金以外の材料の鋳造にも対応する。
 さらに、靱性の高い(曲がっても折れにくい)材料は鋳造が難しいが、グループの協力工場による金型の工夫などで対応可能となっている。

“同じ方向を社員全員が見よう”

高い技術力と、仕上げまでの一貫生産を強みに躍進

ダイカスト技術について説明する左 桑名紀文会長と右 恵子社長

 ダイカスト用の金型の製造は、グループの協力工場として分社化しているが、それを含めた鋳造から塗装やめっき、シルク印刷などの仕上げ加工までの一貫生産が同社の強みだ。
 また、社内ではダイカスト技能士の資格取得を奨励しており、現場の技能士率は全国トップレベルにある。関連特許も多く、高水準の技術の蓄積を着実に継承している。
 「社員の年齢構成や国籍も多様化してきたので、同じ方向を社員全員で見るために、毎年グループ統一スローガンを決め、社員がデザインしたバッジをワッペンにしている。今年は『現状打破』。副スローガンとして、『変わらないことが最大のリスクと考え変化を当たり前とするものづくりを目指す』を掲げ、医療、防犯・防災、建材など、新たな分野を開拓しようとしている」と語る桑名社長。5年前に父・紀文会長から社長を継ぎ、さらなる成長に向けて着実に歩を進めている。

企業名:株式会社双立 スライド

企業データ

  • 本社:大阪府堺市美原区太井655
  • HP:http://www.soritsu.co.jp/
  • TEL:072-361-0661
  • FAX:072-362-6236
  • 創業:1941(昭和16)年10月
  • 従業員:135名
  • 資本金:3300万円

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