輝く地域の中小企業

“和洋折衷”菓子から洋菓子へ
ボーダーレス時代の新市場を開拓

株式会社日昇堂

和洋の壁を取り払い、新しい時代に新しい美味しさを

日光名物「羊羹」で創業、和菓子メーカーとして成長

TENTO chocolateでは、羊羹をチョコレートで包んだ製品も展開する。

 世界遺産である日光東照宮は、江戸時代から多数の参詣客を集め、門前町が栄えた。そこの名物は湯波と、日持ちがして土産になる羊羹だった。その門前町で羊羹をはじめとする和菓子を作り、さらに洋菓子にも手を広げているのが、㈱日昇堂(栃木県日光市、長島孝昌社長)だ。
 水の豊かな日光で1937(昭和12)年、現社長の祖父・長島昇氏が創業した。昇氏は5歳で和菓子屋に丁稚奉公に入り、妻と苦労して自分の店を持ったという。
 寒天や砂糖等の材料をお湯で溶かしたものを羊羹舟という四角い型枠に流し込み、冷えて固まったものを切り分けて竹の皮で包み、梱包する。この伝統製法による羊羹は、外側に砂糖が白く固まりシャリ感があり、中はやわらかく仕上がる。この伝統製法で作り続ける「日光はじまり羊羹」は、同社の看板商品の一つだ。

“和洋折衷”で洋菓子の要素を取り入れる

「きぬにしき」の製造工程。一見どら焼きのようだが、あんをはさむ皮が洋風の「和洋折衷」になっている

 日光は戦後の観光ブームで団体客を多数集めてにぎわった。日昇堂は饅頭などにも品目を広げ、土産物需要を中心に発展していった。しかし、高度経済成長の時代が終わりを迎え、旅行も団体客から個人客中心へと変わるなか、同社にも新たな試みが必要となった。
 そのなかで生まれたのが、一見どらやき風の菓子「きぬにしき」である。和菓子のあんを洋菓子のクッキーのような皮で挟んだ「和洋折衷」の菓子となっている。

“日光作、日光発”にこだわる

新たな時代に向けて洋菓子需要を開拓

同社の「日光ラスク」は、職人が和菓子の製法を取り入れて手作りする。
特許技術・含浸製法によりチョコレートなどがフランスパンの繊維の奥までしみ込み、独自の味わいが人気(同社提供)

 現社長・孝昌氏は2003(平成15)年に就任した。11年の東日本大震災で、福島県に隣接する栃木県も打撃を受けるなか、洋菓子を手がけることを決断。和菓子ベースの和洋折衷から一歩踏み込み、洋菓子をベースに和菓子の素材や技法を取り入れ、新たな菓子の世界を生み出した。
 最初に手がけたのはラスク。切ったフランスパンに溶かしたバターや砂糖などをかけて焼いた洋菓子だが、同社の「日光ラスク」は、特許技術・含浸製法によりチョコレートなどがフランスパンの繊維の奥までしみ込んでいる。和菓子の技法を取り入れた職人の手作りであることもあって、同社の看板商品となった。

『面白い』と言ってもらえる商品を開発

「あくまで地元日光、栃木の企業として展開していきたい」と語る長島社長

 「日光ラスクの商品開発を通じて、県外の人に認知されるだけでなく、地元栃木の人に地元名物として認知され、県外への贈り物にもなることが大切だと知った。その意味で『日光作、日光発』の地元企業であり続けることが基本だ」(長島社長)
 洋菓子路線で新たに取り組むのが、チョコレート。東照宮参道沿いの本店をチョコレート店として新装開店した。「菓子に国境はない。歴史を誇るより、お客様に寄り添い、皆様の思いもよらない『面白い』と言ってもらえる商品を開発し続けたい」と長島社長は熱く語る。

企業名:株式会社日昇堂 スライド

企業データ

  • 本社:栃木県日光市今市1447
  • HP:https://www.ganso-nisshodo.co.jp/
  • TEL:0288-21-0533
  • FAX:0288-22-8033
  • 創業:1937(昭和12)年10月
  • 従業員:260名
  • 資本金:1000万円

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