輝く地域の中小企業
「地盤改良装置」のICT化で強み
「地球環境に優しい企業」を目指す
株式会社ワイビーエム

"ICT活用"で地盤改良技術をブラッシュアップ
“穴を掘る”技術で発展

建物を造るとき、軟弱地盤のまま建設すると、いずれ地盤沈下が起こったり、地震で液状化したりして、建物が倒壊するリスクが高まる。そのため、軟弱層が2~8m程度の場合は、コンクリートで円柱状に固めた「改良杭」を造る。さらに深い場合には、鋼矢板や鋼管杭を固い地盤に届くよう打設し、建物を支える。
このような地盤改良機器の製造で国内40%のシェアを誇るのが、㈱ワイビーエム(佐賀県唐津市、吉田力雄社長)だ。創業者の吉田力之助氏(現社長の祖父)は、戦時中は大阪で働いたが、戦後、故郷の唐津市に戻って1946(昭和21)年に吉田鉄工所を構え、唐津炭田の石炭調査用ボーリング機器の修理・製造を手がけた。炭鉱閉山後も、国土開発ブームのなかボーリング機器の需要は高く、事業は成長。本格的な石油・地熱の掘削機も展開した。
地盤改良装置で飛躍し土壌・水質浄化に取り組む

さらに、ボーリング用ポンプの技術の応用で鋼矢板・鋼管杭打設用ジェットポンプ、地盤改良用のジェットグラウトポンプ(セメント等の注入機器)などで業界トップとなった。これら地盤改良装置が同社の主力製品である。1996年には社名をワイビーエム(英語での旧社名 Yoshida Boring Machine Manufacturing Co. Ltd.の頭文字から)とした。
同社製品は、羽田空港沖合展開工事をはじめウォーターフロント計画、アクアラインの工事関連、阪神・淡路大震災や東日本大震災の復興、さらには南極昭和基地で使用する掘削機、新たな国立競技場など、さまざまな場所で幅広く活躍している。
経営方針として「地下と水の技術で明日の美しい地球環境づくりに貢献」することを掲げ、土壌や地下水の汚染対策として、小型低騒音土壌汚染調査専用機や、化学物質を使わず細かな気泡を利用する水浄化システムなども製品化している。
同社は地下に関わる機器・ソフトウェアおよび水浄化システムの研究開発を進め、特許も数多く取得している。
「地下と水」の技術で地球環境に貢献
ICT化を進め宇宙にも通じる技術を目指す

国土交通省は2016年度より、建設分野の労働力不足に備え、ICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)などを活用するi-Construction(ICT技術の全面的な活用)を推進。GPSを利用し測量・設計・施工計画など建設に必要な各種データを統一規格のもとに作成し、ICT建機の施工履歴データで出来高、出来形を管理。自動作成される帳票により検査も効率化する。
地盤改良工事も、19年度からICT化の対象となり、同社も業界に先駆けて対応機器の開発に取り組む。地盤改良装置の遠隔操作や無人化・自動化の技術はすでに実用化段階にある。また、社内マネジメントにもICTを活用している。
「ICT化を推し進め、将来は『宇宙でも使用できる穴掘り機』を開発したい」と吉田社長の夢はさらに広がる。
企業名:株式会社ワイビーエム スライド
企業データ
- 本社:佐賀県唐津市原1534
- HP:https://www.ybm.jp/
- TEL:0955-77-1121
- FAX:0955-70-6010
- 創業:1946(昭和21)年4月
- 従業員:351名
- 資本金:1億円
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