輝く地域の中小企業

電子機器に不可欠な合金・りん青銅の
世界オンリーワンの専業メーカー

株式会社原田伸銅所

高性能機器で高い品質を安定的に確保

強靱で加工性に優れる合金・りん青銅に特化

溶解。金属原料を高温で溶かし、溶湯をつくる

 青銅(ブロンズ)は古くから使われてきた合金で、銅を主成分とし、錫を含む。硬さと強度では鉄に劣るものの、加工性に優れ耐久性も高いので、実用性の高い金属として広く使われてきた。溶解鋳造時に脱酸(過剰な酸素の除去)のためりんを加えたものをりん青銅(せいどう)という。溶湯の流れが良くなり鋳造性が高まり、ばね性や強度も高まる。また、電気伝導率も高いため、各種コネクタ、リレー端子など、電子機器部品を中心に広く使われている。
 このりん青銅素材(板・条)を生産する専業メーカーが㈱原田伸銅所(埼玉県戸田市、原田真理生社長)だ。原田社長の祖父源氏が1950(昭和25)年、銅板への需要が急激に高まるなか、銅板の製造で創業し、52年には㈱原田伸銅所を設立した。70年には電子・電気製品分野の伸長を見越し、りん青銅に特化。その後、携帯電話やスマートフォンの普及、自動車関連のテクノロジーの高度化により、りん青銅が活躍する場面はますます増えている。

JIS規格を上回るハイスペックりん青銅に強み

製品スリット加工。長尺・幅広の原板を、顧客の用途に応じた幅に連続切断(スリット)し、巻き取る

 父・英雄氏は1984年から社長を務め、94年に仙台工場を新設し、段階的に製造設備を集約。現在、りん青銅については、仙台工場ですべて対応している。現社長は2008年に就任。デジタル製品が増えるなか、りん青銅の需要は着実に増えており、品質へのニーズも高度化している。そこで、10年に完成した仙台工場第四期工事では、最新鋭のスリット加工機を導入し、自動倉庫も稼働させ、生産性の飛躍的向上を果たした。
 また、12年からJIS規格を超えた同社独自のハイスペックのりん青銅「HQシリーズ」を市場に投入。薄くて高強度、加工性の高い優れた素材を市場に供給している。

りん青銅の抗菌素材等で社会に貢献できる企業を目指す

世界で必要な最良の製品を安定供給し社会に貢献

「りん青銅における世界オンリーワンを目指す」と語る原田社長

 「りん青銅における世界オンリーワンを目指し、社会に貢献したい」と語る原田社長。ドイツなど欧州の製造機械メーカーとの共同研究で溶解・鋳造の高度な加工技術を生み出し、高性能で使いやすく、かつ安定した品質が保てる製造装置も開発した。
 現在、営業拠点は国内のほか、中国にも13年、販売会社の原田伸銅商貿(深圳)有限公司を設立。世界的な需要に応えている。
 また、低熱伝導率つまり断熱性の高いりん青銅を開発し、エコな屋根を実現する葺き屋根材、壁材などを製品化している。さらに、高抗菌性のりん青銅も開発した。
 「銅が高い抗菌性を持つことは昔から知られ、純銅が最も優れているというのが定説でしたが、当社独自のりん青銅HAVB105が高い抗菌性を示すことが明らかになり、特許を取得しました。ドアノブ、手すり、あるいは手術用具などの応用のほか、粉末にも効果が確認されており、マスクなどにも応用できます」と語る原田社長。応用製品にも意欲を見せ、社会貢献の道を広げようとしている。

企業名:株式会社原田伸銅所 スライド

企業データ

  • 本社:埼玉県戸田市本町5-9-25
  • HP:https://harada-shindo.co.jp/
  • TEL:048-441-5111
  • FAX:048-432-2140
  • 創業:1950(昭和25)年
  • 従業員:138名
  • 資本金:1億円

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