輝く地域の中小企業

「金属加工で、できないものはない」を合言葉に、新規事業にも取り組む

オグラ金属株式会社

"金属加工のショッピングモール"を実現

戦前に金属加工に転身した百年企業

アルミ溶接。アルミは鉄より軟らかく溶けやすいため、高度な技術が必要とされる。同社は専門資格を有する技術者を数多く擁しており、同社の強みの一つとなっている

 栃木県南部の足利市は、室町幕府を開いた足利家の発祥の地であり、古くからの絹産地で、織物業が盛んだった。ここで金属加工業を営むのがオグラ金属㈱(小倉勝興社長)だ。
 同社の起源は1922(大正11)年、小倉徳太郎氏が繊維業を始めたことにあり、来年創業100年を迎える。38年、時代の流れでプレス業に転身して小倉鉄工所となり、戦後はグループ会社を設立して金属加工の幅を広げていった。
 90年にはグループ3社を合併。新造成の足利東部工業団地に93年、市内の4工場を集約した。その結果、さまざまな金属加工が一貫生産可能となり、「金属加工で、できないものはない」が合言葉の“金属加工のショッピングモール”ができあがった。

自社開発製品に取り組みノウハウを現場に還元

ファイバーレーザー溶接機。2020年に新規導入された設備で、高速加工により熱歪みが少なく、従来より精密な加工が可能になる

 現在、自動車、アミューズメント、環境機器、鉄道車両の4分野の部品加工を主に手がける。鉄、ステンレス、アルミなど各種金属のプレス板金等の機械加工、溶接、塗装、組立、ステンレス酸洗、アルマイトなどの生産体制がととのう。
 また、単なる下請で終わりたくないと、小倉光司・三代目社長(現社長の父)は、自社製品開発に積極的に取り組み、「量産品は海外に行ってしまうから開発が大切」と訴えた。
 その精神を現社長も受け継ぎ、新商品開発専任のチームで探査ロボットなどを開発。昨年4月、このチームを基礎にAI、IoT分野の開発を手がける「先端技術研究所」を社内に新設した。探査ロボットの商品化のほか、開発過程での知見を基に工場内の予防保全システムの開発や現場の改善、ひいてはDXにも取り組む。
 現社長は、2010年に就任。副社長時代にはリーマンショック、社長就任後は東日本大震災に遭遇。13年にはタイへの工場進出と、太陽光発電事業を立ちあげる。さらに19年の台風19号では工業団地全域が水没し、操業停止を余儀なくされたが、自社生産技術部門が中心となり社員総出で復旧に当たり、4日後には操業を再開させた。この組織力も同社が長年培ってきたものだ。なお、これを機会に20年から3年計画で新規設備を導入し、加工能力を倍増する。

社員の幸せと社会への貢献を第一に!

「5Sの街・足利」の顔として

「"年輪経営"企業を目指す」と語る小倉社長

 足利市では2003年から5S活動に地域として取り組み、足利商工会議所内に「足利5S学校」を設立。インストラクターの養成、視察団体の受け入れなどの活動を通じ、国内外に「足利流5S」を普及している。
 同社でも、社員自身が楽しみながら5Sを実践することを徹底し、工場内に社員の面白くユニークな工夫が至るところにある。これを「5Sのテーマパーク」と命名し、国内外から8千人以上が見学に訪れた。
 「今後も時代や環境変化に強く、社会に必要とされながら身の丈に合った成長を積み重ねる『年輪経営』を進める」と小倉社長は語る

企業名:オグラ金属株式会社 スライド

企業データ

  • 本社:栃木県足利市川崎町1310
  • HP:http://www.ogura-gr.co.jp/
  • TEL:0284-91-4111
  • FAX:0284-91-4127
  • 創業:1922(大正11)年
  • 従業員:330名
  • 資本金:9900万円

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