輝く地域の中小企業
ゴム製キャタピラーと油圧駆動
システム、顧客重視の技術開発で躍進
株式会社諸岡

地域と時代のニーズに応え、新規分野に挑戦する
立地環境からのニーズに対応し業態転換、特殊建機製造へ

なっており、高い作業性能を実現
茨城南部は、利根川をはじめとする多くの河川が流れ込み、霞ケ浦などの湖沼・湿地が広がる。土地の大部分は河川の運んできた土砂が堆積した沖積層であり、軟弱地盤が多い。この地域特有の環境に対応し、不整地や悪路で安定駆動する特殊建機を製造するのが㈱諸岡(諸岡正美社長)だ。
1958(昭和33)年、現社長の父一雄氏が鑿泉工事業で創業した。鑿泉とは井戸などを掘ること。当時、一雄氏は養豚、養鶏から米作りへ手を広げ、注力していた。農業用水として地下水をくみ上げるため井戸を掘りはじめると、他の農家からも頼まれるようになり、66年に諸岡鑿泉㈱として株式会社化した。
その後、地下水くみ上げによる地盤沈下が社会問題となると、土木建築業に転換し、71年に現社名に変更。土建業の仕事をしやすくするため、自社向けにブルドーザーや不整地運搬車を製造したところ、周囲の建設業者からも求められ、75年から全油圧式トレンチャー(溝掘機)とブルドーザー、不整地運搬車の製造・販売を始めた。
道なき道を走るゴムクローラと全油圧機構でユーザーの支持

県南地域の軟弱地盤だと、当時の鉄製キャタピラーではトラックや重機が沈み込むので、超湿地でも動ける建機の必要性を痛感。1978年にブリヂストンと、ゴム製のキャタピラー「ゴムクローラ」を共同開発。同社のコア技術の一つとなった。
もう一つの同社製品の特長は、HSTシステム(全油圧機構)。油圧で動く無段変速の動力伝達装置で、ギアチェンジをせずに動かせ、重機をスムーズに進めることができる。
これらの技術開発の根底には、顧客の声に素早く反応し改良を続ける開発姿勢がある。「技術担当者も含め、机上で考えず現場に行け。使う人がどう使うかを知り、顧客の声を聞け」と諸岡社長は言い続けてきた。
「道なき未知を切り拓く」精神で、新事業へも積極進出
バブル崩壊で新規分野を開拓し海外へ積極的に進出

諸岡社長は1989(平成元)年に就任。その後すぐにバブルが崩壊し売上が激減した。北海道や九州の工場を閉鎖した後、前向きな施策として、新規市場への進出と海外への積極的な製品輸出を打ち出した。
まず、建設・土木機械の需要減に対し、林業機械、環境機械に注力した。特に木材破砕機を開発・販売したことで、売上が上向いた。
また、2000年頃から海外への製品輸出を本格化し、16年には米国の生産工場を100%子会社化し、17年にはドイツに販売会社を設立。「今後はロシア、アジア、アフリカへも販路を拡大したい」という。
「当社の経営理念は『道なき未知を切り拓く』。不整地運搬車はニッチな重機で、当社のシェアは約50%。諸岡ブランドも浸透してきた。海外の人材も積極的に採用し、海外展開に注力、グローバル化に対応できる人材を育てたい」と、諸岡社長は将来の発展を見据えた布石を着実に打っている。
企業名:株式会社諸岡 スライド
企業データ
- 本社:茨城県龍ケ崎市庄兵衛新田町358
- HP:https://www.morooka.co.jp/
- TEL:0297-66-2111
- FAX:0297-65-1300
- 創業:1958(昭和33)年3月
- 従業員:260名(2021年3月、グループ計)
- 資本金:1億円
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