輝く地域の中小企業

自社開発の「KES構法」
「COOL WOOD」による木造の
大規模高層建築で未来の木造都市を

株式会社シェルター

「木造建築メーカー」として存在感を示す

工務店から「建築メーカー」へ「KES構法」で飛躍

「KES構法」の模型(左上)と「COOL WOOD」の模型(右下)

 持続可能な社会を目指すことが全世界的な目標とされるなか、木造建築が改めて注目されている。木材を利用することが林業を活性化し、植林を促すことになるからだ。そのなかで、住宅だけでなく、ビルを含む多様な建築を木造で建てる技術を開発し、躍進しているのが㈱シェルター(山形市、木村仁大社長)だ。
 1974(昭和49)年、工務店4代目の木村一義氏(現会長)がシェルターホーム㈱を設立すると同時に、日本初の接合金物工法「KES構法」のプロトタイプを開発した。木材の結合部を金物で緊結し耐震・耐久性を高めるもので、木造の適用範囲を広げる画期的技術だった。
 KES構法のフランチャイズ展開を始めるとともに海外でも特許を取得し、木造3階建て共同住宅の確認を国内で初めて取得するなど、木造建築の可能性を広げた。

合理化の時代を追い風に高い耐震性・耐火性で普及

シェルターなんようホール(山形県南陽市文化会館)。同社が構造体を供給した大型木造耐火建築。ギネス世界記録に認定された「最大の木造ホール」を有する。エントリー部分の「COOL WOOD」の柱は山形を取り囲む山々をイメージしているという

 「日本では、伝統的に木材の接合は仕口・継手で行われ、接合金物を使うのは邪道だった。しかし、高い技術を持つ職人を揃えるのは難しく、誰もが扱える簡単な接合方法が必要となった。米国留学時に立ち寄ったパリの展示会で、梁の接合に金物を使う構法を見たことが発想のヒントになった」と一義会長は振り返る。
 国内で木造建築の合理化が求められ、KES構法は90(平成2)年に建設省(現国土交通省)の第1回木造住宅合理化システム認定を取得。また、95年の阪神・淡路大震災では、KES構法の建物はすべて倒壊せず、耐震性の高さが実証された。
 「建物は人の命と財産を守るものだと再度痛感した。欧米をしのぐ高品質の住宅をつくりたい」と決意を新たにした。阪神・淡路大震災後、建築基準法が改正され、接合金物は急速に普及して、同社の業容は拡大した。
 さらに、木質耐火部材「COOL WOOD」を開発し、KES構法と組み合わせることで大規模建築を実現。17(平成29)年には、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と同等の耐火性能である、日本初の3時間耐火の国土交通大臣認定を取得し、階数制限のない、木造の大規模高層建築を可能とした。同社では木造都市を普及させるため、構築・構造技術を提供している。

「シンプル、スピーディー、ストロング」で強みを発揮

脱炭素社会実現の切り札は「木造都市」

「木の文化の国の日本から未来の木造都市のモデルを示し、世界をリードしたい」と語る木村会長

 「『KES構法』も『COOL WOOD』も、常に『他でやらないこと』に、先頭で向かい風を受けながら挑戦し続けてきた」。そこでたどりついたモットーが「シンプル、スピーディー、ストロング」。「21(令和3)年10月に『都市の木造化推進法(改正建築物等木材利用促進法)』が施行された。今後は脱炭素の切り札として、都市の建物の木造化が加速する。木の文化の国・日本から未来の木造都市のモデルを示し、世界をリードしたい」と一義会長は木造建築の将来を熱く語る。

企業名:株式会社シェルター スライド

企業データ

  • 本社:山形市松栄1-5-13
  • HP:https://shelter.inc/
  • TEL:023-647-5000
  • FAX:023-647-5050
  • 創立:1974(昭和49)年12月
  • 従業員:130名
  • 資本金:9000万円

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