輝く地域の中小企業

ポータブルサイズの“浄水場”など
小規模分散型水インフラを世界に

WOTA株式会社

「浄水場」の全機能を「小型装置」に集約

個人でも水が確保できる「小規模分散型インフラ」を提案

災害現場のほか、平時のスポーツイベントなどにも活用されるWOTA BOX(同社提供)

 日本で水の不自由を感じることはまずないが、世界的に見ればこれはレアケース。貴重な水を大事に使う文化が根付く国は多い。そこで重要になるのが、使った水を浄化し、再び上水として使う水循環の技術だ。
 この水循環を実現するのが、ポータブル水再生プラント「WOTA BOX」などWOTA(株)(東京・中央区日本橋馬喰町、前田瑶介社長)が開発する製品群だ。
 WOTAは、2014(平成26)年に東京大学出身のメンバーが集まって設立されたスタートアップ企業。水質センサーとAIで水質を監視・管理しながら水を再生する装置の研究開発を進め、プロトタイプとなる装置を16年の熊本地震の際に、避難所のシャワーとして提供した。

 その後、日本各地の被災地で実証を重ねながら、19年に初の製品としてWOTA BOXを発売した。
 この製品は、排水の98%以上を再利用することで、災害時や自然の中など水道が使えない状況でも水の利用を可能にし、シャワーや手洗い、洗濯機に接続して使用できる。
 また、水循環型手洗いスタンド「WOSH」を20年に発売。水道のない場所でも、いつでもきれいな水で手洗いができる機械として注目を集めている。

「人類を水の制約から解放したい」

水インフラの課題に取り組み、国際貢献も意識

WOTA BOXの内部。各種フィルターが並ぶ

 WOTA BOXなどに搭載される技術は浄水場で行われてきた属人的な運用を代替することが可能だ。同社では、既存水処理施設向けのDXサービス「WOTA PLANT」を発表しており、電源開発(株)(J-POWER)の水処理施設などへ導入されている。
 「わが国の浄水場は、管理者の職人技に頼る部分が多く、将来の維持管理が難しくなる可能性があります。老朽化が進む水道インフラをすべて更新するとなると、当社試算では170兆円近くかかると見込んでいますが、人口減少が進むなか、既存の設備すべてをそのまま更新すべきなのかは疑問です。
 当社のシステムは、AIやIoTによる自律型システムなので、属人的技術に頼らず、人口の少ない地域でも導入可能です」(前田社長)

「データの収集、解析が大きな肝」と語る前田社長

 前田社長は少年時代から独自に生物の研究を行い、それが元になり中学校時代にアメリカに留学した経験をもつ。そこで聞いたアル・ゴア元アメリカ副大統領の演説などを通じて、人の役に立つこと、環境問題へ貢献することなどへの問題意識を持った。
 「当社の存在意義に共感し幅広い分野から経験豊富なベテランの人材が多く集まってくれたことも強みです。世界には多様な水問題があります。それを構造的に捉え、本質的に解決する企業でありたい」と前田社長は語る。

企業名:WOTA株式会社 スライド

企業データ

  • 本社:東京都中央区日本橋馬喰町1-13-13
  • HP:https://wota.co.jp/
  • TEL:03-5843-6905
  • 創業:創立:2014(平成26)年10月
  • 資本金:1億円(資本準備金除く)
  • 従業員:55名

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