輝く地域の中小企業

「不織布成形」で
発想を「カタチ」に

大塚産業マテリアル株式会社

複雑な形状の難しい加工も自在

「繊維加工技術」がベース 300年続く「レガシー企業」

各シリンダーに刃が装着され、成形された不織布の不要部分をカットするトリム機。加工しているのはポリエチレン製の自動車燃料タンクの断熱材。不織布以外への事業拡大を意識した取り組み

 江戸時代の1706(宝永3)年、滋賀県の長浜地区で蚊帳製造を始めた大塚産業マテリアル(株)(滋賀県長浜市、大塚誠嚴社長)。三井越後屋呉服店(三越の前身)との取引もあって、事業は順調に拡大。1935(昭和10)年には大塚蚊帳(株)として法人化し、生産品目の拡大に伴い44年、大塚産業(株)と改名した。
 戦後、繊維品の統制解除に伴い蚊帳製造を再開したが、生活様式の変化、特に網戸や殺虫剤の普及で蚊帳の需要は減退していった。そこで、住宅産業に目をつけ、蚊帳を応用してクロスの壁紙の製造も始めた。55年には大量生産方式を開発し、欧米諸国に輸出するまでになった。
 その後、8代目誠次郎が自動車の伸長に目をつけ、63年、ポリエチレンフィルムを貼り付けた織物を開発し、ジュート織物の代替品として自動車部材に採用され、シートカバー、エアバッグ、ヘッドライニング(天井部材)などを納入するようになった。壁紙と自動車部材の二本柱で、事業はさらに発展し、87年、大塚産業(現大塚産業クリエイツ(株))、大塚産業ソーイン(株)、大塚産業マテリアル、大塚産業インテリア(株)の4社に分社し、グループ化した。
 2000年代には、自動車生産の海外移転にともない、タイ、中国、ベトナムに現地工場を展開している。

難度の高い高付加価値加工を高度な不織布成形技術で実現

超音波トリムカッター。ロボットアームの先に取り付けた超音波カッターにより、自動で不織布をカットする。硬度の高い、自動車シート用の部材の裁断などに用いられる

 現在同社が取り扱う素材の中心は不織布だ。裁断・縫製した縫製品と、プレス成形する成形品があり、いずれも高い加工技術により高品質な製品となっている。特に成形品は、プレスで薄くなった部分が破れやすいものも多いが、同社製品は深絞りの技術と組み合わせることで、均一な厚みを保ったまま成形することができる。同社の技術の蓄積が、この加工を可能としている。金属のプレスでは同様の技術を持つ会社は多いが、繊維でこのノウハウを持つところはなかなかなく、同社最大の強みだ。

お客様、社員、人々を幸せで優しく包み込む「六方よし」

「三方よし」から「六方よし」へ地域・地球に貢献

「繊維で、世の中に役立ち、お客様・社員・人々を幸せで優しく包み込む企業でありたい」と語る大塚社長

 同社のある近江の商業道徳として有名な「三方よし」(買い手よし、売り手よし、世間よし)を同社も受け継いでおり、SDGsの達成に向け、「作り手よし」「地球よし」「未来よし」を加えた「六方よし」を掲げている。「人々に感謝し、地域社会の発展に貢献する企業であり続けたい。そのため社員には『やりがいを持ち、社会に貢献できる人材として成長してほしい。信義誠実を心がけ、困った人がいれば助け合える相互依存の精神を大切にしよう』と呼び掛けている」と大塚社長は言う。
 社内からの改善提案は年1万件以上と、カイゼン活動も活発で「社員各自が自ら発想し提案する土壌が、強みの源泉。この土壌をベースに、将来に向け、不織布技術を、オフィス、建築、医療など多分野へ応用し、景気変動リスクに強い企業を目指したい」と大塚社長は将来に向けた熱い思いを語る。

企業名:大塚産業マテリアル株式会社  スライド

企業データ

  • 本社:滋賀県長浜市八幡中山町1
  • HP:https://ohtsukasangyo.com/material/
  • TEL:0749-62-3251
  • 設立:1987(昭和62)年3月
  • 資本金:2000万円
  • 従業員:657名

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