輝く地域の中小企業
「特注対応力」で差別化
住宅内装用木製ドアで強み
株式会社ハウテック

社内で環境変化対応力・開閉性能など各種試験を実施
創業時の商材が先細り、ドア芯材製造に活路を見いだす

岐阜県は、県土の81%(全国第2位)を森林が占め、豊富な木材を使った木工品製造が盛んで、飛彈高山は五大家具産地の一つに数えられる。高山市の南に隣接する下呂市に本社を置く㈱ハウテック(中川正之社長)は、住宅用ドアで日本トップクラスの生産量を誇り、ほかにも幅広い種類の建具を製造する。 同社は、現社長の父・中川良三氏が共同経営者数名と1956(昭和31)年に創業したコンテナー工業㈱が始まり。社名の通り、当初は木製の輸送用コンテナーを主に製造していたが、コンテナーのアルミ化が進んだため撤退した。72年に中川良三氏が社長に就任。ドア芯材(ドアの表と裏に挟まれた部分)の製造依頼を受けたのをきっかけに住宅用ドアの生産を始めた。品質が評価され、大手サッシメーカーとの直接取引が始まり、70年代後半には、大手住宅メーカーとの取引にまで広がった。89年には、現社名に変更する。
「社内性能試験」と納期遅れをなくす「特注対応力」で信頼獲得

ドア製造で当初手がけたのは、玄関や勝手口用のドアだった。外気にさらされ、塗料が剥げたり、ねじれ、反りなど狂いが生じ、ひびが入ったりしやすい。鉄パイプを入れるなど、強度確保や狂い抑制の工夫を重ねた。
その応用で1980年代からは室内用ドアを量産した。ドアの芯はサイズを揃えるのが難しく、0.1㎜単位の精度が求められる。また、ドアには室内環境を守るための気密性、遮音性、断熱性、耐火性など数多くの性能が求められ、それぞれ試験が必要だ。外注だとコストがかさむこともあり、80年代から実施している社内検査用の施設を2017年にテクニカルラボとしてさらに増設した。
ラボでは、40万回の開閉試験や、最大1カ月にわたる環境試験などを行えるのも、他社にはない強みだ。
さらに標準化した商品は350万品目ある。多くの発注は戸建て1棟まとめ買いで来る。うち2割が特注で、受注後4日で出荷する。OEMなので相手先ブランドに応じた対応のため350万品目が必要となる。そのため独自の生産管理システムを構築し運用している。この「特注対応力」が納期厳守の決め手だ。
全国区の大手の受注に対応するため、工場は下呂市の本社工場のほか、関東、静岡に展開。さらにインドネシアにも製造拠点を設けている。
社会にも社員にも喜んでもらう会社に
得意先のために皆が愉快に働く「共働向上」がモットー

同社のモットーは「共働向上」。良三社長の時代から受け継がれたもので、「仲間と協力し合って働き、共に向上していく」ことを目指し、さらに「得意先のために皆が愉快に働こう」との思いも込められている。
「今後は、非戸建住宅(マンション、ホテル等)のドア以外の内装建材など、さらに幅広いニーズに積極的に対応し、顧客満足度を高めたい」と中川社長は将来像を熱く語る。
企業名:株式会社ハウテック スライド
企業データ
- 本社:岐阜県下呂市少ケ野423
- HP:https://www.hou-tech.jp/
- TEL:0576-24-1111
- 創業:創立:1956(昭和31)年8月
- 資本金:4800万円
- 従業員:485名
商工中金は中小企業の価値向上に取組み、地域経済の活性化に貢献してまいります。まずは、ご相談ください。
お近くの各営業店までお電話ください。
受付時間 9:00~17:00(土・日・祝祭日・12/31を除く)