輝く地域の中小企業
水道・ガスメーターの開発・製造に最先端技術で新境地を開拓
東洋計器株式会社

メーターの一元管理により省エネ提案
松本市の先人の発明で創業、水道・ガスメーターを製造

水道、ガス料金は、使った分だけ料金を支払う従量課金制で、使用量はメーターで計測する。このメーターを開発・製造するのが東洋計器(株)(長野県松本市、土田泰正社長)だ。
メーターは当初輸入品が使われたが、水道・ガスの普及とともに安い国産品が求められ、初の国産水道メーターを松本市出身の桑澤松吉が1905(明治38)年に開発した。この流れをくんで33(昭和8)年に創業されたのが東洋計器。当初は水道メーターを製造・販売し、64年にガスメーターにも進出した。
メーターは定期的に更新されるので、更新需要が手堅く不況に強い業種である一方、市場が大きく拡大することはない。そのなかで同社がシェア拡大に成功したのは、時代の求める「付加価値」を先取りした商品を投入してきたからだ。
開発力で「付加価値」をつける

飛躍のきっかけは、1985年に大手電子部品メーカーと共同開発したLPガス用のセキュリティメーターシステムだ。マイコンを内蔵し、危険が予想されるとガスを遮断する。この保安機能が、シェア拡大の第一歩となり、現在は日本全国に製品を供給する。
次に取り組んだのがテレメーターシステム「りんどう」(長野県の県花)。通信機能を付加してデータ収集を可能にした。86年に市場に投入し、現在は双方向通信のできる端末によりIoT技術を取り入れ、さらに付加価値を向上。検針業務の省力化だけでなく、高齢者や独居者の「見守りサービス」も提供する。
98年に8代目社長に就任した土田泰秀氏(現会長)は、こうしたメーターの高機能化に80年代から取り組んできた。2000年には給湯、暖房、厨房などガスの用途別に使用量を測定できるハイブリッド・カウンターを開発。電気・灯油など競合エネルギーとの比較によって、用途別の料金体系などの設定を可能とし、ガスの競争力を高めた。
計量は文明の母である
正確計測を基礎に環境・通信システム企業へ

「水道・ガスメーターは、単なる料金請求の道具ではない。CO2削減の具体策を考える上での基礎データ提供の役割が、今後大きくなる」と土田会長は語る。同社では現在「省エネ提案型事業」に注力する。水道・ガス・電気のメーターを一元管理し、そのデータから最適の組み合わせを提案し、CO2削減および家庭の光熱費削減に結びつける。
2009年に新設したエコ事業部には、環境ビジネス室と太陽光発電設備販売課を置いている。環境ビジネス室では、エネルギー一元管理システムを用い、省エネ提案を行う。
「地方企業が成長することが日本国土の均衡ある発展に繋がるとの想いで、地方企業の経営に尽力している。常に新しい発想で新時代を切り拓く総合開発研究所を社内に設置し、ハードとソフトおよび通信技術の融合により、新たな計量の価値を創り出したい」と土田会長は将来の目標を熱く語る。
企業名:東洋計器株式会社 スライド
企業データ
- 本社:東洋計器株式会社
- HP:https://www.toyo-keiki.co.jp/
- TEL:0263-48-1121
- 創業:1933(昭和8)年5月
- 設立:1949(昭和24)年5月
- 資本金:7億7200万円
- 従業員:458名
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