輝く地域の中小企業
ナノレベルの
「超精密研磨加工」を
精密測定技術で実現
株式会社ティ・ディ・シー

精密なモノづくりを丁寧に一つずつ
鋳造から超精密研磨加工に転換
海外から受注がくる企業に

宮城県中部の利府町で、東日本大震災の危機を乗り越え、今や宇宙開発にも通じるレベルの超精密研磨加工技術を柱に、半導体製造装置、光学・医療機器等の分野で強みを発揮するのが㈱ティ・ディ・シー(赤羽優子社長)だ。
同社は現社長の祖父貞亮氏が1953年に創業。当初、鋳造品等の大量生産が主体であったが、2代目の前社長が「景気の影響の少ない高付加価値型」への転換を決断、従前の金型技術を生かし、超精密研磨加工技術を柱に精密機械加工に転換した。安い人件費を求めて一度は進出した海外拠点から撤退し、「国内で雇用を長く維持し、海外から受注が来る企業」を目指した。会社の大きさは追わず「精密なモノづくりを丁寧に一つずつ」との姿勢で、現在顧客数は国内外4000社に上る。
「宇宙」にも通じる測定設備・技術で顧客の「オンリーワン」に

強みは「ナノレベル」(10億分の1m)精度の超精密研磨技術、削り面の「平坦さ・滑らかさ」だ。時間をかけて歪みを廃し、削り、磨き、測定と研磨を繰り返す。高水準の精度が求められる試作品の受注も多い。
さらに研磨の精度を支える高性能平面度測定装置は、世界トップクラスの測定能力で、同社技術陣が機器の特性まで熟知し、使いこなす。
「当社の技術は宇宙関連事業でも評価され、南極の望遠鏡『BICEP3』や『はやぶさ2』にも採用されている」と赤羽社長は胸を張る。実際、同社サイトの技術案内を見て世界中から高難度の試作品加工の問い合わせが来る。こうした相談は他ではできない場合が多く、同社が対応できれば即受注につながり、顧客にとっての「オンリーワン」の発注先になる。
研究開発、設備投資は10年先を見据えて
「丁寧に教える」ことで熟練技術を共有、生産性向上につなげる

こうした高度な技術を可能にしているのが、ベテランから若手への丁寧な技術の継承である。「自分しかできない技術」を評価するのではなく「人に教え全員と共有できること」に評価の重点を移した。また、上下関係(職位)を廃した「グループ別役割制」の導入により、若手の責任も明確にした。その結果、ベテランは若手に教えることで自らも伸びることを知り、若手の意識も高まって入社数カ月から数年で高い技術を習得できるようになった。積極的に教えようとする雰囲気が浸透して、さらに技術の共有化、多能工化が実現、技術基盤の強化につながっている。
また、働き方改革にも積極的に取り組む。原則定時退社とする一方、社員全員を昇給とした。効率化の工夫によって、労働時間は短縮しても生産量は維持・拡大され、生産性向上を実現している。
「今後も10年先を見据えた投資、技術・研究開発を進めていく。そのためには、種まきと育成の繰り返しが大切になる。最新鋭の測定設備も躊躇なく導入することで他社との差別化を図り、大学等研究機関との共同研究や連携も幅広く進めていく」と赤羽社長は展望を語る。
企業名:株式会社ティ・ディ・シー スライド
企業データ
- 本社:宮城県宮城郡利府町飯土井字長者前24-15
- HP:https://mirror-polish.com/
- TEL:022-356-3131
- FAX:022-356-3578
- 創業:1953年
- 設立:1989年
- 年商:12億円(2023年9月期見込)
- 従業員:67名
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