輝く地域の中小企業
最新の冷凍加工技術を軸に
「漁業界の革命」
池下産業株式会社

「取れたての鮮度で、厳選した魚の本当のおいしさを」
養魚飼料製造中心に発展
水産加工で事業の幅を広げる

北海道東部有数の漁港の町、広尾町で、養魚飼料(魚粉・魚油)製造を本業とし、近年、地元産イワシを看板商品に「漁業界の革命(レボリューション)」を、と奮闘しているのが池下産業㈱(北海道広尾町、池下藤一郎社長)だ。
同社は現社長の祖父吉郎氏が1983年に水産加工業を創業、その後加工場から出る魚カスを畑の飼料にする事業を始め、水産加工から養魚飼料製造に転換した。
養魚飼料製造は漁獲量や価格の変動による偏りが大きく、業況が不安定であった。10年ほど前、藤一郎氏の社長就任の頃から、同社は養魚飼料への依存を脱して安定化を目指し、事業の幅を広げる取り組みを始めた。養魚飼料製造で使用する重機等を活用した、産業廃棄物処理、運送等に加え、水産加工へ再参入を決めたという。
「イワシ」の仕入れ・加工・冷凍で「漁業界の革命」目指す

北海道の定番といわれるサケやサンマでは他社と勝負するのは難しい。そこで同社は近年漁獲量が回復してきたイワシに注目する。「イワシ漁の漁船関係者と接する中で、時期次第では脂の乗ったおいしい"大トロ"イワシが取れるという話を聞き、厳選した魚を取れたての鮮度で提供することで本当のおいしさを消費者に一年中楽しんでほしいとの思いを強めた」と池下社長は振り返る。
しかし文字通り「鰯」は弱い魚で鮮度落ちしやすく、水揚げ後24時間が限度とされる。鮮度が落ちたときの青魚特有の生臭さが苦手な人も多い。
そこで、「冷凍保存」して出荷することを考えた。冷凍方法にはアルコール、電気等種々あり、その全てを3年掛けてテスト。品質保持を重視して経年変化を見極め、海外への輸出も視野にマイナス110℃の超低温での窒素冷凍を採用した。
さらに洗浄等の加工工程にもこだわり、海水ではなく不純物の少ない真水(地下水)に塩を混ぜた人工海水を低温(2、3℃)にして使用するなど、鮮度管理を徹底する。
一方、寄港中の漁業関係者の世話役的な事業にも携わり、彼らとの信頼関係構築に努めた。結果、高品質の加工品に重要な漁獲直後の魚の保管方法などを直接漁船側に要請できるまでになった。これは、業界内では画期的ともいえる。
イワシを主に展開する同社のプレミアム冷凍ブランドを「漁業界の革命」の思いで「レボフィッシュ」と名付け、2017年に販売開始した。
漁業者との新たなつながり方を構築
永続的な発展を通し社会に貢献
事業の展開をさらに広げる

現在同社は、提携する漁業者らとともに海のエコマークともいえるMSC認証の取得を目指している。
水産資源や海洋環境に配慮した漁業かなど、漁業者としてのモラル、社会貢献の証明になり、将来的には海外との取引で必須となると見込む。
さらに5、6年先を見据え「天然の資源に左右されない安定した事業展開を考え、養殖等の新たな事業にも取り組みたい」と池下社長は語る。
企業名:池下産業株式会社 スライド
企業データ
- 本社:北海道広尾郡広尾町字茂寄936-1
- HP:https://www.revofish.com
- TEL:01558-2-5471
- FAX:01558-2-5376
- 創業:1983年8月
- 資本金:500万円
- 従業員:35名
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