輝く地域の中小企業

階段をシンボルに
"美しく快適な空間"をつくる

カツデン株式会社

現地組み立て方式のシースルー階段を創り出す

時代のニーズをつかみ新たな事業へと次々に転換

ショールーム。階段のほか、家具や遊具もある。形や色などさまざまなバリエーションで展示され、住宅のテイストに合わせてイメージしやすくなっている。また、傾斜角度の体験装置で実際の昇降が体感できる(埼玉県美里工場)

 創業以来培ってきた金属加工技術をベースに、主に戸建住宅向けのデザイン性の高いシースルー階段を得意とするカツデン㈱(東京都台東区、坂田清茂社長)。同社は現社長の父、鐐司氏が1958年に創業した瑞江製作所を祖とする。
 創業当初はテレビ放送の勃興期で、需要が伸びたアンテナの製造販売を中心に手掛けた。その後、家電販売にも進出。やがて住宅ブームで需要の高まった建材製造に乗り出し、その建材部門が分社化し、現在の同社に至っている。
 建材については、当初のアルミ製手すりから始まり、らせん階段、さらに現在のスチール製直階段へと、主力製品は変遷をたどってきた。
 「常に時代の流れを見て軌道修正を行い、ニーズの見込まれる新たな分野に進み、従前と異なる商材へと事業転換を図ることで生き残ってきた」と坂田社長は振り返る。

Architecture = Building + Art
「アーキテクチャー」は「ビルディング」プラス「アート」

「美しさ」と「QCD」 理想的なバランスの追求へ

現地組み立て方式の階段の仮組み作業。数ミリ単位の誤差も見逃さず、設計通りにズレなく階段が正しく組み上がるか確認する。この方式の採用によって、現地での溶接や塗装が不要となり火花もペンキ臭も出ない納品が実現、さらに品質・コスト・工期など多くの点で強みとなっている

 坂田社長は大学時代の恩師から、ビルディングとアーキテクチャーの違いを教わったという。「これからは単なるビルディング(建物)ではなく"アート(芸術)"をプラスした"アーキテクチャー"を目指すべきだ」との言葉を胸に、以来、それを自らの経営理念とし、自社製品に落とし込んできた。
 ゆえに、同社が重視するのは「美しさ」だ。デザイン性の高さはもちろん、特にこだわっているのが溶接工程だという。溶接自体は通常の方法だが、同社の特徴は溶接部分の表面まで研磨する溶接の「仕上げ」にある。溶接工程の作業時間の大半を費やして、「接合」部分が判らないよう、滑らかな仕上げを施している。こうした細かいこだわりが、他社との大きな差別化となっている。
 一方で技術者として、品質・コスト・納期(QCD)も徹底的に追及している。「階段が1本500万円、納期が2年では注文してもらえない。高品質、低価格、短納期、この三つのバランスをほどよくとるのが、技術者の腕どころだ」と社長は語る。

「階段」を基点に屋外への展開目指す

「"美しく快適な空間をつくる"という理念はこれからも揺らがない」と強調する坂田社長

 そうした「美しさ」と「QCD」両方の理想を結集させ、創り上げたのが「現地組み立て方式の鉄骨シースルー階段」という今までになかった方式だ。部品の状態で事前に工事での塗装が可能で仕上りの品質は大幅にアップ、住宅施工後の搬入据え付けが可能なため工期は短縮され、コストも抑えられるという。
 現在は階段をメインに、室内設備が主力事業だが、将来は庭や外構など、屋外向け製品への展開も視野に入れている。「例えば玄関アプローチ階段に、シースルーの現地組み立て方式を導入するなど、屋内に加え屋外に向けても"美しく快適な空間"の追求を続けていきたい」と坂田社長は将来を熱く語る。

企業名:カツデン株式会社 スライド

企業データ

  • 本社:東京都台東区上野5-25-11 大和上野ビル7F
  • HP:https://kdat.jp/
  • TEL:0495-76-1311
  • FAX:0495-76-4251
  • 創業:1958年6月
  • 設立:2003年12月(分社設立)
  • 資本金:7000万円
  • 従業員:208名(単体)

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