輝く地域の中小企業

良い酒は、良い米から。
土壌と手作りに拘った酒造りを継承

株式会社本田商店

昔ながらの、機械で代替できない"技"が売り

地元の米で冷酒造り
高まった「地酒冷酒」の価値

同社の製品。右が定番の銘柄、左が最新銘柄。同社の酒は最もおいしい温度に拘り、冷酒(5~10℃程度)で飲むことを想定して造られている

 代表銘柄「龍力」を擁し、全国に先駆けて個別農家との専属栽培契約で酒米を調達する㈱本田商店(兵庫県姫路市、本田龍祐社長)は、現代の技術と昔ながらの技で独自の酒造りを続ける。
 同社は、1921年、 初代の本田新二氏が酒の販売店として創業。近くの網干駅に届く酒等の配送事業を行っていたが、やがて酒造りに進出。2代目社長の時代に大手酒造業者の下請として発展した。
 高度成長期には、日本酒も「量より質」、高級化が進んでいった。同社は独自性を出そうと「冷やして飲む」酒造りに乗り出す。「日本酒は燗」が一般的だった時代に、いち早く冷酒を売り出した。同じ頃、「地酒冷酒は、(品質も値段も)高い」との認識が世間にも広がり始めた。

地域性を生かして日本酒の新しい世界を

土壌に拘った米からの酒造りでブランド化を目指す

 同社が拘るのは何といっても素材だ。早くから酒造好適米として地 元の米「山田錦」に注目。契約農家に対して栽培方法等を個別に細かく要望できるシステムを構築する。その過程で「米のとれた場所によって、できる酒の質が違う」ことに気づいたという。そこから土地の個性、すなわちテロワールを意識した酒造りが始まった。
 3代目社長本田武義氏は、社長退任後の2000年頃から大学院の研究室で土壌研究を進め、同じ山田錦の栽培地でも地域によって土壌に含まれる成分が異なることを解明。さらに長年の酒造りの経験から、マグネシウムの含有量によって生み出される酒の香りや味、キレが違うことがわかった。こうしたあくなき研究の成果は、それぞれの土の特性、米の特性を生かした同社の現在の酒造りに発揮されている。

働き方の改善と伝統の技の両立で新たな酒の世界に挑戦

「良い酒は、良い米から」と力説する5代 目社長、本田龍祐氏

 働き方改革にも力を入れてきた。一般に、酒の仕込みは朝5時からという厳しい労働環境だったが、現代の環境に合わせ8時半に変えた。ものづくりを楽しむ若者に来てほしいとの思いから、ほかにも工夫、改善を重ねた。これは結果的に現従業員のストレスを減らし、酒の質を上げることにもつながった。導入が可能なところでは機械化を進めてきたが、発酵などの重要な部分は、その多くを伝統の技として残している。
 「おいしいものこそが売れる」という本田社長がいま目指しているのが、後キレの良さだ。「飲んだ後に舌の上に残らない。かつ喉の奥で余韻を感じられるような酒を目指したい」と言う。さらに今後は、ジンや熟成酒等新たな酒造りに挑戦し、地域性のある蒸留酒づくりにも取り組みたいという。「米国でトウモロコシからウイスキーを造ろうとしてバーボンが生まれたように、この土地にある米から新たな酒、新たな価値観を生み出していきたい」と、本田社長は熱く夢を語った。

企業名:株式会社本田商店 スライド

企業データ

  • 本社:兵庫県姫路市網干区高田361-1
  • HP:https://www.taturiki.com/
  • TEL:079-273-0151
  • FAX:079-274-2454
  • 創業:1921年10月
  • 設立:1945年2月
  • 従業員:約30名

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