輝く地域の中小企業

「雪上車」から
「バイオガス発電」まで、
国民生活、地球環境に貢献

株式会社大原鉄工所

多くの要素技術を伝授し、自然な流れで事業展開

豪雪地帯の新潟県で雪上車専門メーカーとなる

同社製の、新型南極観測用雪上車「OHARA-LAV」。南極で現在使用されている(同社提供)

 新潟県は、全県が豪雪地帯、うち半分以上が特別豪雪地帯に指定されている。そこでは、積雪時の人や物の輸送に雪上車が必須だ。同県長岡市に本社を置く(株)大原鉄工所(大原興人社長)は、雪上車の唯一の国産メーカーだという。雪に沈み込まないような足回りの部品(無限軌道)を装着する雪上車は、戦前は軍用車両が使用されていたが、戦後は国内でも研究開発が行われるようになり、 1951年には、北海道と新潟県で雪上車の発注が始まり、新潟県で受注したのが大原鉄工所だ。
 長岡市では、1888年から東山油田の採掘が始まり、活況を呈した。これに着目した大原石松氏が1907年、石油掘削用ポンプを製造する大原鋳造所を設立。1924年には完成機械の製造に着手して大原鋳工所と改称し、1938年には工場の移転に伴い大原鉄工所と改称。1940年に有限会社化した。しかし、すでに東山油田の産油量は減りはじめていた。1945年、戦争が終わると株式会社化し、米所新潟県に必要な農業関係の製品製造にシフトした。水田用の水路開発に伴う水門や、ゴミ取り装置の開発に着手し、国内数カ所の用水事業で採用された。

雪上車の足回りの部品(無限軌道)の製造工程

 さらに、1951年に新潟県の委託事業として雪上車開発に取り組み、製品化に成功する。量産化で国内でも数少ない専門業者となり、現在に至る同社の基盤事業となった。
 自衛隊に採用されるほか、1967年には、南極観測用の雪上車も納入。さらに、ゲレンデ整備用雪上車(圧雪車)などの開発によって、同社の高い技術やノウハウは広く認められている。

「ムダに捨てない」製品を供給

国や地方に役立つ企業として発展 多くの要素技術が強み

出荷を待つ、スキー場ゲレンデ整備用雪上車DF350、DF450

 「長年培った要素技術を多く擁し、伝授し続けてきた。応用技術研究が得意で、『顧客の希望に合わせて作り替える』ことを得意とする技術陣、社内風土が背景にあり、現在の事業展開につながった」と大原社長。
 地球環境問題に高い意識を持ち、近時は再生可能エネルギー(バイオガス)分野に進出。発電機メーカーとしてのシェアも高く、バイオプラント建設も手がける。リサイクル分野でも独自のプラント建設技術を擁するなど、ますます事業の幅は広がる。

社是の「利者義之和也」について語る大原社長

 「当社の社是『利者義之和也』は『利(儲け、利益、利得、富、財産、勢い、力、勝利)は、義(自分の利害を捨てて、人道・公共のために尽くすこと、人の行うべき正しい道)の総和にある』という意味で、例えば、国や地方の人びとの暮らしに役に立つ、製品は長く使ってもらい「ムダに捨てない」、顧客とも長い付き合いをしてもらう、はやりものや量産ものには手を出さないなど、すべてこの社是に通じている。『義』の定義は『地球環境との共存』『お客様のために、顧客価値を高める仕事をする』『社員の成長を促し皆で喜ぶ』ことだと理解している。今後も『環境事業』を軸に『地球環境、社員の成長、男女平等』を意識し事業を展開していきたい」と大原社長は熱く語る。

企業名:株式会社大原鉄工所 スライド

企業データ

  • 本社:新潟県長岡市城岡2-8-1
  • HP:http://www.oharacorp.co.jp/
  • TEL:0258-24-2350
  • 創業:1907年10月
  • 資本金:4500万円
  • 年商:60億円
  • 従業員:170名

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