輝く地域の中小企業

「個」の嗜好で選ばれる時代に
「One to One」で対応

株式会社ユニバーサルポスト

「印刷会社からの提案」で付加価値

終戦後の広島で創業 人々の生活と文化の伝達に貢献

「感性マーケティング室」メンバーによるブレーンストーミング(IT部門とマーケティング部門は日常的にこうしたディスカッションが行われている)

1947年、(株)ユニバーサルポスト(広島市・喜瀬清社長)の前身である、朝日精版印刷(株)が創業した。創業者の尾山卓造氏は、原爆の惨禍に、何もなくなった広島で「『ことば』を文字にして情報を伝えることで人々の生きる活力となりたい」「『朝日』のように広島を、日本を照らしていきたい」との想いで会社を立ち上げたという。前田理副社長は「当時、鉄道の荷札や経済紙の活版印刷を通じ、人々の生活と文化の伝達、ひいては、ゼロからの経済の創造に貢献したと自負しています」と語る。
 それから時を経て、スマートフォンが普及した2015年、グループ会社を吸収合併し、社名をユニバーサルポストに変更。高い印刷技術を軸に、広告、プロモーション、マーケティング事業を展開する。
 同社は、創業者の想いを今も受け継ぐ。「最近では、戦時下のウクライナからの避難民を雇用するなど、平和や経済活性化への貢献を強く意識しています」と前田副社長は言う。

創造性を通じて人々に感動を

「One to One」技術で"印刷会社からの提案"を強化

生産管理システムの画面。前掲の「4色機」と連動させた生産管理工程をAIが管理、最適スケジュールを提示する。(ソフトはハイデルベルク社製)

 同社は、時代のニーズを取り入れながら成長を遂げてきた。1978年には、工業団地「商工センター」に本社を移転し、大量印刷に対応するため設備を拡充した。
 現在は、マーケティングを組み合わせた「One to One」印刷にも力を注ぐ。これは、デジタル高速輪転印刷機の導入により実現した。従来の印刷機では同一内容の印刷しか行えなかったが、同機では内容やページ数が異なるデータを基に、一部ずつ違う内容の印刷物を同時に刷ることができるのだ。
 前田副社長は「もはや大量印刷は過去の話です。今は個人に即した商材が選ばれます。いかに人それぞれの価値観を把握し、個々の嗜好を満たせるかといった"個のマーケティング"が必須です」と強調する。
 「当社の最終目的は、ただ印刷物を製作することではありません。顧客が当社の印刷技術を活用してビジネスを発展されることを目指しています。例えば、パーソナライズされたDMを受け取った消費者と顧客がつながるための仕組みです。具体的には、小売業者向けに、顧客行動パターンの膨大なデータを集積し、分析、解析、体系化を行います。さらに高度なIT技術を駆使して消費者の嗜好、購買行動をシミュレーションすることで、事業者向けの広告・DM戦略のロジックを構築します。このような"印刷会社からの提案"も行います」(前田副社長)

印刷技術を生かし、教育分野・海外企業向け事業を目論む

教育の未来を見据え「技術を応用して個々の学力向上に合わせた教材提供をしていきたい」という前田副社長

 「創業者の意思を引継ぎ、『創造性を通じて人々に感動を与える』企業であり続けたいと思います。今後は、印刷技術を応用して『教育現場での個々の学力に合わせた教材の提案』『海外の事業者が出稿する広告を日本市場向けにリバイスする事業』などに取り組み、新たな柱にしたい」と前田副社長は将来を語る。

企業名:株式会社ユニバーサルポスト スライド

企業データ

  • 本社:広島県広島市西区商工センター7-5-52
  • HP:https://www.u-post.co.jp/
  • TEL:082-277-5588
  • 創業:1947年11月
  • 設立:1948年1月
  • 資本金:1000万円
  • 年商:32億円(2023年3月期、グループ計)
  • 従業員:240名(グループ計)

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