輝く地域の中小企業

ドライバー全員を女性とし
ダンプトラック業界に新風

株式会社ハートフル

全ドライバーが女性、環境整備で人手不足に対応

北陸新幹線関連の需要を見込み、ダンプトラック事業を立ち上げ

 人口減少に伴う人手不足は、どの業界でも深刻だが、トラック業界でも労働力が高齢化し、女性進出も遅れている。そのなかで、ドライバー全員が女性というダンプトラック運送会社として異彩を放つのが、福井市を拠点とする㈱ハートフル(渡辺真由美代表取締役常務)だ。
 同社は2015年、北陸屈指の総合物流会社・北陸トラック運送㈱(福井市、水島正芳社長)を中核とする北トラグループの企業として、水島正孝会長の肝いりで設立された。15年3月に金沢まで開業した北陸新幹線が23年に敦賀まで延伸される予定であり、工事関連の需要を見越して、グループ初のダンプトラック事業を立ち上げたのである。

ドライバーは全員女性

 当時、国土交通省は14年をトラックドライバーの「人材確保・育成元年」と位置づけ、業界における女性の活躍を推進する「トラガール促進プロジェクト」を開始していた。全国のトラックドライバーのうち女性は2%程度、約2万人に過ぎないが、大型免許を持つ女性の数は13万人を超えており、20年までに女性ドライバー倍増の目標が掲げられた。
 ㈱ハートフルは、ドライバー全員を女性とし、全車両がダンプカーという、全国的にも珍しい会社として発足し、業界の話題となった

業界の常識にとらわれず、顧客のメリットを追求

法令遵守の徹底で人材確保し、顧客の信用もアップ

アルコール検査。出発前はもちろん、帰社後にも実施し、安全の徹底を図る。異常を検知すると運行管理者のスマホに通知が入る

 全員女性ドライバーとしたことで話題にもなり、3Kのイメージが払拭され、人材確保の点でも効果があった。会社のイメージカラーをピンクとして、社内外はもちろん、40台用意したダンプトラックの半数はピンクが基調の塗装とした。
 女性ドライバーは、自身が主婦や母親である者も多く、子供の安全を守るという意識が高い。会社の方でも、制服は貸与され、ヘルメットの着用、安全靴の使用、アルコール検査といった安全管理も、記録の管理を含め徹底している。それらは運送の品質の高さにもつながり、会社の評価を高めるとともに、地域からの受け入れもスムーズに進んだ。

「車両をまず50台に増やしたい」と語る渡辺常務

 ダンプは、積むときは重機を使い、降ろすときは機械装置で「ダンプする(どさっと降ろす)」。通常のトラックに比べ、腕力を使う場面はほとんどない。さらに、同社では業界では珍しくオートマチック車の採用を進めており、より安全運転に集中でき、初心者のドライバーでも働きやすい環境を整えている。
 現在、新幹線工事関係が多いので、ゼネコンの下請企業が顧客に多く、トンネル工事の廃材の運び出しが主な仕事だが、コンクリート用の砂の販売も収益の柱となりつつある。
 「車両を50台まで増やし、急な大口受注にも対応できる体制にしたい。将来的には土木工事業の免許を取得して、ゼネコンからの直接受注も狙いたい。また、今後は託児所の整備など、より女性が働きやすい環境を整備したい」と渡辺常務の将来展望は大きく広がる。

企業名:株式会社ハートフル スライド

企業データ

  • 本社:福井市上河北町1-15
  • HP:http://www.hokutora.co.jp/
  • TEL:0776-41-3311
  • FAX:0776-41-3556
  • 創業:2015(平成27)年6月
  • 従業員:42名
  • 資本金:980万円

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